これは今から約10年程前、脱サラして居酒屋を始めた大将とその妻である女将に起こった出来事です。
現在の私は離婚して一人暮らし。近くに住む孫たちと楽しい日々を過ごしております。
【前回】夫のスマホロックをこっそり解除! ゲス不倫を監視する私もすっかりゲスに?/オキガネ
【最初から読む】夫のリストラから夫婦で居酒屋経営へ。順風満帆だった我が家に忍び寄る影/オキガネ
夫婦仲の良かった頃には、暇な時間が出来るとどちらからとも言うことなく休憩を取っておりました。
「今のうちに休んで来たら?」
「私? ちょっと仕込んで置きたいものがあるからあなたの方から先に行って来て」
「そうか、じゃお先にいただくとするかな?」
そう言いながら隙間時間に作っておいた軽食を持って旦那はいそいそと裏口に向かいます。
テナントビルの共通の通路にパイプ椅子を置いて、簡易的な休憩所みたいなスペースを作っていました。
旦那に先に休憩を進めたのは決して私の優しさからではありません。
もしも私が先に休憩を取ろうものなら、後から休憩を取る旦那は呼ばれるまで戻らないので後半に休憩に行く方が良いのです。
後から思えばこういう細かいところに気をつかわない旦那の性格が、不倫という行為を軽く見ていた事に繋がったのでしょうね。
休憩の話に戻ります。
旦那に先に休憩に行かせると、下手すると店が混んできて最後まで休憩が取れなかったりする事もあります。
ですから、そこは駆け引きですね。
しかしながらそういった夫婦間の暗黙の了解も旦那の不倫騒動後はなくなりました。
何故なら私は暇さえあれば自分だけが休憩に行くようになったからです。
旦那は仕事の合間にカウンターの中で折り畳みイスを出して座っているくらいです。
ですがこの頃になると旦那は年齢のせいもあり大分お疲れのご様子でした。
ある日、そんな旦那の体調を気遣って「休憩行ってきたら?」と言うと、旦那は目を丸くしていました。
それもそのはずです。
その頃は私に勧められて休憩に行く事など皆無だったのですから。
本当は、不倫を一度赦した後、間髪入れずにまたすぐに同じ女性と不倫するというゲスな行為をした時に、慰謝料貰って別れてもいいくらいなのです。
しかも、慰謝料や給料すら貰わずに再び店の女将をやっているのですから、子ども達でなくとも『なんでまだ一緒に仕事してるの?』と言われてもおかしくないでしょう。
私も私自身に『なんで?』と、質問したいくらいです。
多分質問には自分でも答えられないでしょう。
ただ、惰性でいるのかもしれないし、旦那に愛情が残っているのかもしれないし。
そういう家庭の雰囲気のせいかどうかは解らないけど、愛して止まない息子は家を出て遠いところで独り暮らしを始めちゃったし、長女も結婚しちゃったし。
現在は結婚していますが、その頃の次女は残ってくれていたけれど。
ただ(嫌だけど)老後を二人で過ごすとなると、旦那には少しでも健康でいて欲しいかなと...。
多分自分が楽したい為だったのでしょうね、その頃の私が旦那の健康を気遣う行為は。
うん、そうだそうだきっとそうに違いない。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。