「アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と2ニャンとで暮らしています。私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。」
【前回】家族からの虐待で弟の嫁母を緊急避難させることに。「今日から私の所で預かります!」/かづ
【最初から読む】アッシー・メッシー・貢君だった彼が突然父に結婚の挨拶! 夫との馴れ初め/かづ
さぁ、準備万端整った! 来るなら来いだ!!
朝から目まぐるしく色んな事を片付けた私は、自宅に帰り付いてホッとしていた。
弟嫁母の荷物の入ったプラスチックの衣装ケース2つを車から運び上げ、これから何が起こるのかを考えても仕方がないので、通常業務というか家事に戻った。
施設に入った舅の部屋が空いていたので、弟嫁母にはそこを使って貰うように言った。
「こんな部屋を! 良いんですか! どこでも良いんです! リビングの隅でも!」
弟嫁母は恐縮そうにそう言ったが、いくら隅であってもリビングでずっと寝起きをされてはこちらが困る。
荷物をあらかた整理できた弟嫁母がリビングに出て来たが、とりあえずソファーに座っといてくれと言っても居心地悪そうにしていた。
けれどもその様子はどこかウキウキしている様で、さながら友達の所にはじめてお泊りでもするようだった。
気楽なもんだなと思ったけれど、そういう気楽「すぎる」ところがこういう事を引き起こすんだとも思ったら納得も出来た。
朝干した洗濯物を取り込むと、弟嫁母が畳みだした。
「あっ! おばちゃんいいから!」
「これくらいはさせてください!」
洗濯物を誰かに畳んで貰ったことなどはじめてだった。
夫と結婚し、毎週金曜日から日曜の夜まで義実家にいたが、姑は嫁の私が居る時は全く家事をしたことがなかった。
あれをしろ、これをしろと指示はするが、本当に何一つ家事はしなかった。
弟嫁母が洗濯物を畳んでいる姿を見て、「あぁ、母が生きていて、普通の親子として付き合えていたらこんな感じだったのかなぁ」と思ったら胸が痛かった。
夕食の支度をし出すと、「ごめんねぇ。私は料理がだめだからぁ」と言って、弟嫁母はリビングの片付けと掃除をし出す。
「あぁ! 本当に座っといて貰ったらいいから! テレビでも見てゆっくりしといて」
私は誰かに助けて貰う事に慣れていない。
「私、昔掃除の仕事をしてたから掃除は得意なんです」
弟嫁母は弟嫁母で、何もせずにゆっくりしといてと言われる方が身の置き所がないのだろう。
私が台所で料理をしている間に、どんどんとリビングが片付いて行く。
あぁ、なんて幸せ...。
こんな時にも、ふと姑が生きていた頃を思い出す。
私が台所仕事をしている横で、姑は友人らしき相手に私の悪口を言い続けていた。
電話が終わったかと思うと、紅茶を入れろだの果物を出せだの、家政婦に命令する奥方様状態だった姑。
食べたら食べたまんまで食器を台所に持って行く事すらしない。
何を作っても文句ばかりで、「そこで見られてたら気ぃ悪い! 向こう向いて!!」と言われて壁に向いて立たされていたっけ。
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18時近くになって電話が鳴った。
「来た!」と言った私を怯える様に見た嫁母。
電話を取ると案の定上弟だった。
(ここから私、お口が悪くなります)
私「はい」
弟「わしや!」
私「なんでしょう?」
弟「ようこんな事してくれたな!!」
私「なにが?」
弟「今から迎えに行くから用意しとけ!」
私「家の事させて娘の子守りさせて、それでええ歳した母親に働きに行け言うて。それで働きに行く所が見つからんかったら飯なしって、ようそんな事が出来たな!」
弟「!!!」
私「3日も飯食わさんとって、それも炊飯器の中の残りご飯まで持って出るような念の入り様で! 毎日反省文書けやと!? あんた何様や!?」
弟「とりあえず今から行くから!」
私「あぁ、来るなら来んかい! こっちもただでじっと待ってる訳やないからな!」
弟「!!」
私「あんたら夫婦がやった事は全部役所に訴えて、老人虐待って認めて貰っとる! 来月の1日から老人ホームに入る事が決まったんや! 費用も全部福祉が面倒見てくれる事も決まって、それまでうちが預かる事になっとんや!」
弟「子どもどないすんねん!」
私「そんなこと知ったこっちゃないわ! 子どもの面倒は両親揃っとるんやから、あんたらがみんかい! 世の中、夫婦だけで子どもの面倒見て共稼ぎしとる家が仰山ある! そもそも飯も食わさんような年寄りはいらんやろ? 家の事してもろて、子どもの世話もしてもろとるおばちゃんに、ようもこんな事が出来たな!」
弟「今から行くから!」
私「来るなら来んかい! 私がなんも考えずに、単におばちゃんをこっちに連れて来ただけやと思うか? あんたが来たら警察が来てくれることになっとんのや! 十分老人虐待やからな! ちゃんと手は打っとんのや! 来れるもんなら来てみぃ!!」
私は僅かばかりだが期待もしていた。
弟が事の重大さに気付いて、ここで謝罪や反省の一つでも口にするかも知れないと。
そんな期待をしていた私がまだまだ甘かった。
弟「そ...、そしたらこっちに金の請求はないんやな...?」
私「あぁ、ない。私がそんな中途半端なことはせん! 小間使いみたいに使ことって、挙句に飯も食わさん様な奴らに金だけ払えみたいなことにはせーへん!」
弟「ほんならもうええわ。」
そう言って電話は切れた。
「(娘の)旦那さんは?」
一部始終を隣で聞いていた弟嫁母が、不安そうに聞いた。
事の成り行きが心配だったのもあるが、弟嫁母からしたら「あの」弟を相手にし、一歩も引かずに怒鳴り散らした私を見て面食らっていたようだ。
「『ほんならええわ』やって。老人虐待やって事を自分でも自覚してるって事やろ? ここに連れ戻しに来たとしたら、当然私は警察を呼ぶ。そんでその前で全部ぶち撒けるやん? そしたら自分の方が都合悪なるって自覚があるって事やわ。虐待してましたって自覚があるって事や!」
弟嫁母は、上弟の怒りの勢いに押されて私が言い負かされるのではないかと、そしてここですったもんだの大暴れになるかもしれないと心配していたらしい。
「一番の決定打は、一銭も請求されんで済むって事やと思うで。自分らが金出さんで済むならって事とちゃうか?まぁ、これで来月の1日を安心して待ちわびれるって事やから良かったやん?」
私が話している途中から、弟嫁母は泣いていた。
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