<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ぴち
性別:男性
年齢:51
プロフィール:齢50を過ぎ、月に一度、薬をもらいに病院へ通うことになりました。
月に一度、定期的に通院をしています。
入院施設もあり規模もそこそこ大きな病院です。
医師、看護師、事務スタッフなどスタッフの数も多く、中には東南アジア系の外国人スタッフもいます。
みなさん、とても忙しく動いていますが、患者さんに対しては丁寧で優しい対応をしており、仕事とはいえ大したものだ、といつも感心していました。
中でも特に大変そうなのが、風除室での検温です。
風除室とは、建物の中に風やほこりが入り込まないよう、入り口前に設けられた小部屋を指します。
私の通院する病院では、その風除室にテーブルを置き、来院した人すべてに検温、手の消毒、咳などがないかなどの簡単な問診を行っています。
実はこの病院、入口が北向きになっていて、冬場は北風を真っ向から受けます。
いくら風除室にいるからと言えども、冷たい北風を完全にさえぎることはできず、検温担当のスタッフは、冬の時期はいつも寒さに耐えています。
東南アジア系の女性スタッフもしばしば検温担当をしています。
厚手の上着を着てもまだ寒いのでしょう。
手をこすり合わせている姿を見ているだけで、大変だなぁ、と思ってしまいます。
それでも笑顔を絶やさず、丁寧に応対してくれる姿を見ると、こちらもつい、いつもお疲れ様です、と声をかけてしまうのでした。
昨年末、師走の冷たい風がとても強く吹いていたある日のこと。
私がいつも通り病院に行くと、風除室では東南アジア系の女性スタッフが検温担当をしていました。
寒い中お疲れ様です、と声をかけると、寒い中の通院は大変ですね、と逆に気遣われてしまいました。
体温計を私のおでこにかざすと、体温が測れません。
あまりに寒いと体の表面温度が低すぎて、計測できないとのことでした。
女性スタッフはすみません、と言いながら私の首元に手を伸ばしたので、そこで測るのかと理解して首元をめくると、しっかり計測できました。
私の後に来た外来患者さんも、ほとんどが1回で検温ができず、首元をめくって測定していました。
1回で検温ができなかったことに加え、強い風に吹かれたことでいら立ちを隠せない患者さんも多く見受けられました。
しばらくして、70歳代半ばと見える女性が来たのです。
やはりこの方もおでこでの検温ができません。
スタッフが、首元失礼します、と手を伸ばした瞬間...。
「触るな! 外人のくせに!」
そう女性が怒鳴りつけました。
突然の出来事ではあったのですが、日本人の看護師さんが駆け寄り事情を聞くと、女性患者さんは他人に体を触られるのがとても嫌いな人なのだそうです。
それなのに突然手を伸ばしてきたから、驚いて大きな声を出してしまったと話していました。
一部始終を見ていた私は、驚いたのなら仕方がないかと思いながらも、外人のくせに、の一言はあまりにも失礼が過ぎるだろうと感じていました。
この女性は、特に謝罪をするわけでもなく、対応した看護師さんに検温をしてもらい、何食わぬ顔で待合室の奥へと歩いていきました。
怒鳴られた外国人スタッフの顔からは笑顔が消えており、受けたショックの大きさを感じました。
私の会計が終わり病院を出るときには、次の当番のスタッフに変わっていました。
一言声をかけてあげたかったのですが、それも叶いません。
あまり深く気にしなければいいなぁ、そう思うと同時に、いくら驚いたとしてもあのような発言は絶対に良くない、と怒りがこみ上げました。
私が受けた言葉ではありませんが、とても不愉快に思えた師走の出来事でした。
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