性別:女
年齢:38
プロフィール:2児のアラフォーママです。農家を営む元気な祖母が突然亡くなりました。親族を亡くす悲しみを痛感しています。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
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桜の花が舞い散る4月中旬ころ、予期せぬ訃報が届きました。89歳の祖母が亡くなったとのことです。風邪で体調を崩して入院中に心不全を起こしたと聞きました。
現役で農家を営むパワフルな祖母だっただけに、突然の死を簡単に受け入れることができませんでした。次男である64歳の父も放心状態です。
頑固で口うるさく、人に涙なんて見せない父。祖母の葬儀で、初めて涙を流しているところを見ました。自分を育ててくれた親を失う悲しみは、計り知れないと感じます。
長男は病気を患っていたため、次男である父が喪主でした。終始目を真っ赤にしながら、来訪者に挨拶をしてまわっています。私はそんな父の後ろ姿をジッと見つめていました。
悲しみを背負いながら、母の葬儀をいとなむ責任というものを感じます。そしていつもは大きい父の背中が小さくも見えた時間でした。
葬儀が終盤にさしかかったころです。父が亡くなった祖母への手紙を読み始めました。父が祖母に対してずっと思っていたことを初めて知ることができ、私は涙がとまらなくなりました。
父はもともとぶっきらぼうな性格です。自分の母親に「ありがとう」さえ伝えられずにいた自分をとても後悔していました。特に印象に残ったエピソードは、父が就職で初めて都心へ引っ越したときのできごとです。
知らない土地での生活に不安を感じていたとき、祖母から丹精込めて作った野菜やお米が届き、「体だけは用心しなさい」と手紙がはいっていたそうです。
父は祖母の存在がなによりも心のよりどころだった、と声を震わせながら話していました。
不安に襲われた時、支えてくれたのは祖母の存在だったと言います。およそ40年が経過した今でも、祖母の手紙を大切に保管していることも知って驚きました。
手紙の最後には大粒の涙を流しながら「ありがとう......」と亡くなった祖母に深々と頭を下げていた父。感謝の気持ちを素直に伝えられず後悔している父の気持ちが、痛いほど伝わってきました。
父の手紙を聞いて「人は失って初めて気づくことがたくさんある」と感じます。毎日当たり前のように接している家族や友人もいずれ「別れ」がやってきます。人生で本当に大切なものはなにか考えさせられました。当たり前のように接している家族や友人との時間は決して永遠ではありません。限られた時間だと意識すると、どれだけ人との関わりが大切か分かります。
失って後悔する前に、まわりにいる家族や友人のことを大切にしていきたい。父の涙がそれを教えてくれました。
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