「楽しんでない! 溺れてんねん!」海で遠のいていくボートの影に絶望。手を振り助けを呼ぶと夫は

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:57
プロフィール:3匹の猫と夫と海辺の街で暮らす普通の関西人です。

「楽しんでない! 溺れてんねん!」海で遠のいていくボートの影に絶望。手を振り助けを呼ぶと夫は 44.jpg

若い方はこれから新婚旅行などで出かけるかもしれないカリブ海のバハマ(今はコロナ禍で難しいと思いますが...)。

スピードボートで、海の真ん中にぽつんと現れた砂州に連れて行ってくれるツアーもあります。

しかし、のどかな風景にだまされて気を抜くと非常に危険です。

約10年前、40代の私と夫はバハマに旅行に行きました。

浅瀬は白砂で、サンゴ礁がゴツゴツあるわけではありません。

いつもシュノーケリングにいそしむ私たち夫婦はやることがなく、泳ぐ豚が住む島やスターの別荘がある島、海の真ん中にぽっかり出てきた砂州などに行く、スピードボートの1日ツアーに参加することにしました。

セレブな雰囲気とスリリングな乗り物が好きな夫は、アップテンポな音楽を大音量で流しながら運転するボートのキャプテンと意気投合。

最初から豚たちが済む「豚の島」にしか興味がない私は、永遠に続くエメラルドグリーンの海を眺めていました。

念願の豚にも会えて「もう思い残すこともない」と安心した私は、緊張感ゼロの状態で次の行程である、砂州での自由行動に臨んだのでした。

砂州に上陸すると、ツアーのメンバーはちりぢりになり消えていきました。

ところが、夫はボートのキャプテンとまだ話しています。

「まあいいか」と思いながら私はさっそく海に入り、太陽とエメラルドグリーンの海にすっかりリラックスした状態で仰向けになり水面に浮かんでいました。

ほんの5分程度だったと思います。

空を見つめながらボーッとして、ふと、夫は何してる? と思い身体を起こしました。

そのとき、初めて自分がものすごい勢いで沖に流されていたことに気づいたのです。

さきほど乗ってきたスピードボートがほとんど点になるぐらい遠くに見えています。

足もつかないほど深いところで表層の流れも強く、じっとしていると、どんどん流されて行く状態。

「太西洋沖まで流されて行方不明になったらどうしよう!」

先ほど出会った豚をお手本に、必死の犬(豚?)かきでスピードボートからかろうじて私が見えるぐらいの地点まで泳ぎ着きました。

ハアハア言いながらよく見ると、ボートのキャプテンと夫はデッキの上で大音量で音楽をかけ、楽しそうに踊っていました。

「助けて〜!」と手を振ったのに、あろうことか、2人は一瞬こちらを振り返り、笑いながら手を振りかえしてきたのです。

「楽しんでない! 溺れてんねん!」

絶望感に襲われながら、「もう誰も頼りにならん! 豚がやれるのに私がやれないことはない!」自信と勇気を奮い立たせました。

仰向けでパワフルに両腕をブルンブルン振り回し、脚をバタつかせて激流(?)に逆らい必死に泳ぐ私...。

幸いにも体重が重い分だけ加速がついたので、波を切ってズンズン進み、30分後ぐらいには砂州にたどり着くことができました。

もしあのとき気づかずにいたら、大西洋まで流されることも...そんなことを考え、背筋がゾクッっとしました。

全く流れてないようでも、細長い砂州の周辺の海は強い流れがあることもあります。

特にリゾートの綺麗な海ではそんな危険に気づきにくいです。

リラックスし過ぎると思わぬ危険を招くということを学んだ出来事でした。

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