<この体験記を書いた人>
ペンネーム:はおり
性別:女
年齢:58
プロフィール:専業主婦。子どもは3人で皆20代、独立しています。趣味は断捨離、猫と遊ぶこと。
私は58歳の専業主婦です。
20年前に築20年の中古の一戸建てを購入しました。
間取りは4LDKです。
夫の実家から歩いて5分というのも気に入りました。
前に住んでいた人は老夫婦で、奥さんが先に亡くなり、しばらくお爺さんが一人で住んでいたのですが、その方も亡くなったそうです。
その後は娘さんが1人でいらしたそうですが、結婚してマンションを購入したので、実家を処分すべく売りに出していたというわけです。
家は比較的綺麗に保たれていましたが、キッチンとお風呂、壁紙だけリフォームしました。
玄関には、頑丈そうな下駄箱があり、このまま使うことになりました。
さて、引っ越して、家具を入れ、片付けをすませ、皆で引っ越しそばを食べていたときのことです。
お茶を運ぼうとしたとき、キッチンから廊下に出て、ふと玄関を見ると下駄箱が数センチ開いているのです。
その下駄箱は引き戸なので、自然に開いたとは考えづらい。
引っ越し作業のときに靴を入れて、きちんと下駄箱の戸を閉めたはずなのに...そのときはバタバタしていて、誰かが開けたのだろうですませました。
それから数日して、掃除機をかけていたときでした。
ふと下駄箱を見ると、また数センチ開いているのです。
朝、夫と子どもたちが会社や学校に出かけていくときは、確かに下駄箱は閉まっていたはず。
少し気味が悪くなりました。
夕食のとき、夫と子どもたちに下駄箱のことを話すと、子どもたちから意外な証言が飛び出しました。
「あの下駄箱、ときどき、開いてることがあるよ」
「えー...もしかして幽霊? 心霊現象かな?」
そういうことを全く信じない夫が「あの下駄箱、古そうだし、ガタがきてるだけじゃないの? 日曜日にでも調べてみるよ」と言ってくれました。
日曜日に夫は丁寧に調べてみましたが、特に問題はありません。
それからも、ときどき数センチ開いていることがありましたが、なるべく気にしないように過ごしていました。
ある日、隣の人とスーパーで会い、いろいろ話をしました。
その人は70代くらいの主婦で、私の家に以前住んでいた人とも仲が良かったとのこと。
私が下駄箱の戸が勝手に開いたりするので、気味が悪いんですと言うと、隣のおばさんが教えてくれました。
「あの下駄箱は、前に住んでたダンナさんが自分で作った物なのよ。日曜大工が得意で、机やちょっとした家具もよく自分で作ってたよ。下駄箱ができたときは、上手くできたって自慢してらしたから覚えてるの」
そんな思い入れのある下駄箱だったとは...。
「新しく家に入ってきた人たちのことが気になって、覗きに来ていたのかしら?」
さっそく家に帰って夫と子どもたちに、おばさんから聞いた話をしました。
「おじいちゃん、見に来てるのかな?」
「不思議な話だな」
夫と子どもたちはそう言って、私もなぜか怖いという感情はありませんでした。
数日して、下駄箱が勝手に開く現象はなくなりました。
今は、お爺さんが私たちを新しい住人だと認めてくれたのかな?と思っています。
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