アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。今から20年以上前、私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。
【前回】「娘の幼稚園の月謝が払えない」というから弟嫁にお金を貸したら...それ、何のつもりだ!/かづ
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上弟家族の金銭的なだらしなさにあきれたが、もうこれで姪が幼稚園を退園になってもしょうがないと私も諦める事にした。
入園時の物品購入であったり月謝を数カ月分融通した事で、これに味をしめるのであればもうそれ以上用立ててやる必要は無いと思った。
その一件があった数週間後の事だった。
家の電話が鳴ったが、知らない番号だったので出なかったら留守電に切り替わった。
当時セールスの電話が多く掛かってきていたので、在宅時も留守電にしていた。
留守電に切り替わり、相手が話し出す。
「○○病院ですが、H子さんの娘さんでしょうか? ご相談させて頂きたい事があるので...」
私は慌てて受話器を取った。
内容は、母が入院していて至急家族に話があるとの事だった。
私はまた酒関係での入院かと思ったがそうではないらしく、とにかく病院に来て主治医の話を聞いてくれとの事だった。
当時の母は、なにせ様々な所で私を保証人として住所や連絡先を口に出していた。
母の事で私に連絡が来る事は正直言って迷惑以外の何物でもなかった。
私が母と連絡を取らなくなってからは、母の福祉の担当さんを通じてしか知らなかったが、震災後の復興住宅に入居した母は相変わらず上弟と連絡を取っていたようで、だから余計に母とは連絡を取らなかった。
私がこの担当さんと最初に話した際に、母の離婚時の事(弟達の親権を放棄した件)や私に散々迷惑を掛けた事も話し、母が色んな所で私を保証人だと言っていたとしても私自身はそれを承認していないので、母と関わる事自体が迷惑なんだと話していた。
担当さんは母と数回接し、察するところがあった様で納得してくれた。
けれども今回母が入院になり、病状や進行状況からさすがに連絡しない訳にはいかないと病院側と話しをしたそうでこちらに連絡が来たのだ。
病名は副腎癌で、 もう長くない状態と言う事なのだろう。
主治医の説明を聞いた後、病棟に移動して母の病室に行く。
母はベッドで寝ていたが、むくみからか顔はパンパンになっていた。
布団をめくって確認したが、やはり手も足もむくみが酷く、足などは絞ると水が滴りそうな状態だった。
主治医からの説明通り、母の意識は有ったり無かったりで、有っても会話が成立する状態ではなかった。
無駄だと思いながらも上弟に連絡をしたが、想像通りに「で? それが?」だった。
母が亡くなる前に一目でも会って貰えたらと思った私がバカだった。
下弟に知らせると、子どもも連れて家族で母の見舞いに来た。
下弟は「出来る限り協力する」と言ってくれたが、どれほどかはあてに出来ないと感じた。
数日も経たないうちに母は昏睡状態になり、病院から早朝と夜間の付き添いが必要だと言われた。
父の時もそうだったが、今のように24時間看護の病院ではなく、家族が付き添えなければ「付添いさん(家政婦)」を雇ってくれと言われた。
今の病院にはヘルパーさんなど、患者さんの身の回りのお世話をしてくれる職員が多くいて24時間の看護をして貰え、むしろ家族の付き添いは要らないと言う病院が多いが、当時は「付き添いさん」がどこの病院にも見られた。
保護を受けている母なのでそんなお金がある訳もなく、かと言って福祉にしろ病院しろ、「家族がいる」と言う現実から、「なら付き添いさんを」の一点張りだった。
「最後の親孝行」と他人にはそう見えたのかも知れないが、私はもう長くはないであろう母の事で、弟達と揉めたくなかった。
お願いしたくなく、頼みたくも頭を下げたくもなかった。
私は母が亡くなるまで長くても数日程度だろうと言われたのと、母に意識が無い事で付き添いをすることを決めた。
ただ、当時私も小学生の子どもがいたので、朝には2時間ほど一旦自宅に帰らなければならない。
それを下弟に話すと、その時間帯なら行けると言う事だったので、一旦帰宅する私と交代で付いてくれ、その後再度私と交代して出勤するという事になった。
ある朝の事、時間になっても下弟が来ず、少し遅れると言うメールを貰ったが、それでも30分経っても下弟は来ず、私は子どもの用意が有ったので病院を後にして自宅に戻った。
自宅に戻った途端病院から電話が有り、母が亡くなったと言われた。
下弟にどんな様子なのか聞こうと携帯に電話を掛けたら、驚く事に下弟はまだ自宅に居て「ゴメン姉ちゃん...今日は行かれへんかった...」と言った。
下弟に母が亡くなった事を告げ、言葉の端々に「お前が来られないんなら姉ちゃんはそのまま居たんだよ! お母さんは一人で逝ったんだからな!!」と言う事をにじませながら、怒りで怒鳴りそうになるのを押さえつつ、怒鳴った所でどうにもならんのでとりあえず病院に行く事を告げた。
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