<この体験記を書いた人>
ペンネーム:けんけん
性別:女
年齢:50
プロフィール:実母(79歳)息子(12歳)の3人で、ちょっと田舎に暮らしています。
私の息子(12歳)は小さい頃から"見えない何か"が見えるらしいです。
私は見えないので「らしい」としか言えません。
息子が小さい頃、知人からこんな話を聞きました。
中庭が見える部屋で知人と息子が2人でいたとき、息子は中庭の方に向かってニコニコしながら手を振っていたそうです。
しかし、そこにはなにもなく、知人は光が動いているようにしか見えなかったと言っていました。
また、息子が小学校中学年だった頃、人のオーラの色が見えると言っていたことがありました。
「ばあちゃんの色は紫...」
そう話していたのを覚えています。
それ以来聞かなかったので、最近「今も見えるの?」と息子に聞いてみました。
息子は「チョット見えなくなりかけたけど、今はまた見える」とのこと。
小さい頃に見えていても大きくなると見えなくなると聞いたことがありましたが、息子はそのタイプではないようです。
私個人としては、見えないよりも見える方が大変だろうと思います。
学校では大丈夫か尋ねたこともありましたが、息子は「小さいのがいるけど無視してる」そうで、その小さいものとは「モヤモヤした塊みたいなの」と教えてくれました。
息子の視点では、彼は無数のモヤモヤした塊みたいなものに囲まれて学校生活を送っているようです。
そんな息子が先日、頑なに登校を拒んだことがありました。
私は毎日息子を小学校まで車で送迎しています。
また、毎月1日と15日は氏神様に参拝してから学校へ送っています。
ある月の1日、いつものように氏神様に参拝してから学校へ送って行こうとしたら「あっち(学校方面)はヤダ」と息子が言い出しました。
今までそんなことはありませんでした。
休むわけにはいかないので、理由を言わない息子を車に乗せてそのまま学校へ。
でも、学校に着いても息子は車から降りません。
どうにか玄関の扉の前まできたのですが、そこから動かず「ヤダ! ヤダ!」と言い続けるので「何がいるの?」と聞くと、息子はようやく教えてくれました。
校舎の屋上を指さし「蓑虫蛾がいる! あいつは気持ち悪いからヤダ!」と。
蓑虫蛾って何? と後で調べてみると、ゴジラと戦うモスラに似ていて、触覚の部分がもっと毛が多い姿でした。
「は?」と言う私に「ほら! あそこ!」と何度も指さし私の後ろに隠れます。
「今日だけ?」
「いつもはイモリのようなのがいるから、蓑虫蛾は小さくなって分かれて隠れてるけど、なぜか今日はイモリがいないから、あいつら大きくなってる。気持ち悪い!」
「屋上やし、そのうちどっかに行くかもしれんし」
「いや、あいつらは行ったり来たりするから、こっちにも来る!」
「他の蛾の幼虫なら平気なん?」
「蓑虫蛾の幼虫は本当に気持ち悪い。他のはまだまし」
息子の言い分はそんな感じでした。
やがて、職員室から先生が4人ほど出て来られました。
「蛾が嫌い? いないけどなぁ、まあ先生も嫌いやけど」
「相談室でちょっと荷物置いて話ししよう」
「音楽会が近いから練習しよう」
そうやって話しかけてくれたのですが、息子は頑として譲らず、30分以上の押し問答の末、家に帰ることにしました。
やはり見えるのは大変だなと思います。
息子が見ている世界を見てみたいような見たくないような...難しいところです。
関連の体験記:「怖がると思って黙ってたけど...」深夜2時半の山道で突然現れた人物。実は来ていた服が...!
関連の体験記:「もう一人の私がどこかにいる...?」いないはずの私が映画館にいた、数々の証言
関連の体験記:「誰もいてないで」人のいない風呂場から話声や、大広間の謎の影...なぜ行ったのかもわからない温泉宿
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。