上げ膳据え膳の介護施設で自由気ままに生活できるはずじゃ...?舅の大きな勘違い/かづ

アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。今から20年以上前、私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。

【前回】介護において最もありがたきは「口出ししない親戚」金も手も出してもらわなくて結構です!/かづ

【最初から読む】アッシー・メッシー・貢君だった彼が突然父に結婚の挨拶! 夫との馴れ初め/かづ

上げ膳据え膳の介護施設で自由気ままに生活できるはずじゃ...?舅の大きな勘違い/かづ pixta_80384116_S.jpg

舅の入所後10日ほどしてから面会に行くと、訴えるような目で舅は私にこう言った。

「この前散歩に行くって言うたら、一人で行ったらあかんって言うんや...」

舅はやっぱり勘違いしていたんだと確信した。

「僕は一人でも大丈夫やって言うたんやけど、付き添いが無かったらアカンって言うんや。今までずっと一人でバス乗って散歩に行ってたのに、付き添いが無かったらアカンって...」

舅は力無く私に頼むように言うが、私は淡々と何を今更と思いながら答えた。

「だってお義父さん、自分の事は何も出来ませんって言うてここに入ったんやろ?」

舅は「それが何か?」と訝(いぶか)しげな顔をした。

「お義父さんは脳梗塞の後遺症で身体が不自由ですって言うて申し込んだんやろ? それやのに、一人で行って来ます~って出掛けて良いわけ無いやん。リハビリも言われた通りにこなせんわ、あれもこれも出来ませんって言うたんやろ?」

舅はハッとした顔つきに変わった。

「あれもこれも出来へんから上げ膳据え膳の施設に入りたいって申し込んでんのに、一人でホイホイお散歩に行って来ますなんて許可出るわけ無いやん。それもましてや駅前の本屋にバス乗ってなんて。何かあったら一人で出掛けさせた施設側の責任になるやんか。そりゃあ誰か付き添いが無いと、お出掛けなんて許可出んわ~」

舅はショックが隠せない顔だった。

おそらく舅は私から頼んでもらうつもりだったのだろうが、そもそも舅が施設入所を申し込んだ時に申告した症状がそうだったんだから、私が何をお願いしようと、受け入れた側からしたらハイ分かりましたと許可を出す訳が無い。

舅は肩を落としたが、何かを思い出した様に続けてこう言った。

「あっ! そうや! ここはアルコールを預けといたら食事の時に用意して出してくれるんや! 食事の時の配膳に、ビールや水割りを出してくれるはずやのに、許可が出てないからって出してくれんのや!」

見学の時に、一部の利用者さんの食事のトレーに缶ビールが乗っているのを見て、舅が職員に問い合わせた際に、「あぁ、事務所に(お酒を)預けて頂いたら食事の時にご用意して出しているんです」と答えたもんだから、てっきり自分も飲ませて貰えると思ったのだろう。

それで私たちに隠すように、手持ちのリュックにウイスキーの小瓶を入れていたのだ。

私は待ってましたとばかりにこう答えた。

「お義父さんは糖尿やろ? それが原因で脳梗塞やって、今半身まひやろ? 食事も糖尿食が出てるんやろ? カロリー計算した上で、アルコールがOKかどうか判断した上とちゃうん? 同じカロリーでも食事から摂るカロリーが優先なんやから、ご飯減らしてでもアルコール出すって事はせぇへんで。食事優先なんやから」

舅は唖然とした表情だった。

「お義父さんが見たアルコールが出ていた人って、病気も何も無くて食事制限も無くて、医者が判断してアルコールOKの人だけって事やと思うで? 誰でもかれでもお酒を預けさえすれば飲んでOKとちゃうで」

舅が見学時に問合せした際に、「事務所に預けて貰えば食事の時に出しています」は、あくまでも「医者の許可が出て、栄養士がカロリー計算をした上で献立に合わせて出してます」と言うだけで、どんな利用者でも飲んでOKとなってる訳ではない。

やはり思った通り、舅は掃除洗濯三食付きの介護付き有料老人マンションのつもりで入所したのだった。

嫁からの強制リハビリの日々から逃げたくて、尚且つ好きな時に好きなように散歩に出掛けて酒を飲み歩けると思っての施設入所のはずだった舅は、この世の終わりかと言う様な表情だった。

施設は簡単なリハビリもしてくれるので、週3で職員が部屋まで迎えに来て、ある意味嫌が応無くリハビリ室に連れて行かれている舅。

家族にとっては大変ありがたいが、舅にとっては苦行。

もちろん一人で散歩に行く事などは出来ず、お出掛けと言えば月に2回希望者全員で施設のバスに乗って、介護者と一緒に近隣のスーパーまでのお買い物Dayがあるだけ。

一人で本屋に寄るだの、ましてや缶ビールを買ってバス停で飲むなどは出来ない。

隠れて酒を飲まれて困っていた家族にとっては、これまたありがたいサービスだがこちらも舅にとってはストレスなんだろう。

これで何とか日々の生活が改善してくれればと思っていたが、舅なりに悪知恵を働かせて色々やらかしてくれるのだった。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。
 

かづ

​ブログ「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」の管理人で、Ameba公式トップブロガー。 ​基本専業主婦の​50代​。子育てが終​り、​夫と4ニャンと暮してい​る​結婚36年目です。 ​一人っ子の夫と結婚し、舅姑の理想の嫁でなかった私の結婚生活においての戦いを思い出しながら書いています。

※毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

この記事に関連する「みなさんの体験記」のキーワード

PAGE TOP