20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として暮らしてきた中道あんさん。でも50代になると、夫との別居、女性としての身体の変化、母の介護...と、立て続けに「人生の転機」が訪れます。そんな激動の中で見つけた「50代からの人生を前向きに過ごすためのヒント」。
以前友人と出かけて感激した、京都の山奥にある日帰り温泉。3年後の冬、ひとりでそこを訪れた中道さんが思ったこととは...
【前回】在宅・施設合わせて約9年、かかったお金は? 「介護のお金」にまつわる、やって良かったこと/中道あん
【最初から読む】仕組みを作って安心。ひとり時間が多い親の見守り/中道あん
夏はそうでもないのですが、秋も深まるころになると、ふと温泉に入りたくなるのです。
温泉ひとり旅は最高に楽しいものです。
ひとり旅が好きというと「カッコいい」「憧れる!」とか言っていただきますが、反対に「ひとりで寂しくないの?」「美味しい! 綺麗! に誰も共感してくれなきゃつまらないじゃない?」という意見を聞くこともあります。
たぶん、誰かとじゃなきゃ楽しめない人と、ひとりでも楽しめる人の2つのパターンの人がいるのだと思います。
ですが、仕事や家族の世話からちょっと離れてのんびりしたい人にはひとり旅はおススメです。
とはいえ、これまでひとりで旅をしたことがない人にとって、いきなり飛行機乗って秘湯へなんてハードルが高すぎると思うのです。
なので日帰りできるような近場の温泉宿にひとりでのんびりと過ごしてみることから始めてはいかがでしょうか。
私は現在フリーランスになり、子育ても終了。
自分のためにご飯を作る日々になった今は、ふと思った時に旅に出かける余裕ができました。
でも、ほんの数年前までは、休日返上で働く会社員生活。
接するだけでストレスが溜まる母との同居。
これが自分の仕事とばかりに頑張っていた家族のための食事作り。
2014年10月、京都の山奥まで友人の車で連れていってもらい、日帰り温泉を楽しみました。
温泉とスパ60分とランチがセット。
母には仕事にでかけるフリをして家を出たのを覚えています。
タイムリミットは夕方まで。
宿泊客がチェックインするまでの数時間を日帰り客に提供したプランです。
そのクオリティの高さに感激しました。
それから3年後の冬、ひとりでそこへ行ってみたのです。
「家族を置いてひとりだけ贅沢していいんだろうか」「やらなきゃいけないこともあるんだけれど...」「子ども達のご飯は...」
なんて今から思えばどうでもいいようなことにちょっと心を奪われていました。
でも「行きたい」という気持ちを優先して、宿に電話をかけて予約をしました。
ちょっとドキドキしたのを覚えています。
いまではそんなに珍しくはないしょうが、おひとり様プランのあるお宿でした。
だからでしょうか、食事の時は半個室のようなテーブル席が準備されていました。
これだと周りからの視線は全くのシャットアウト。
私がひとりでいることなどは他のお客様からはほとんど目に触れないようになっているのです。
ひとりでご飯を食べている姿を見られたら「寂しい人」だと思われないかな...なんて心配は杞憂でした。
だって他のお客様はお話に夢中ですので、周りのことなど気にも留めていません。
確かに誰かと一緒は楽しいものです。
でも「いつお風呂に行く?」「もっとお酒飲む?」「もう寝る?」など何かと気を使うのも確か。
そしていくら美味しい料理でも、話に夢中になってしまうと「何をたべたのか覚えていない」印象がとても薄くなってしまうことがあります。
結局、誰かと一緒にいることは、その人との時間を楽しむために使っているのです。
いつも全力で働いて、家事との両立を当たり前のようにしている。
今はこうしてお宿から自分のためだけにおもてなしを受けている。
そのことにめちゃくちゃ感動して涙がこぼれそうになったことをよく覚えています。
ひとり旅はひとり占めの時間です。
観光などせず、近場温泉でのんびり湯につかり、退屈になったら近所をぶらぶらと散歩する。
するとアイディアや新しい気づきを得ることもしばしばあります。
そういう楽しみを味わえるのが近場温泉の醍醐味だと思います。
まだひとりでは...という方は、近場温泉ひとり旅にぜひチャレンジしてみてください。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。