20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として暮らしてきた中道あんさん。でも50代になると、夫との別居、女性としての身体の変化、母の介護...と、立て続けに「人生の転機」が訪れます。そんな激動の中で見つけた「50代からの人生を前向きに過ごすためのヒント」。
在宅・施設を合わせて約9年の介護。中道さんがしておいて良かったと思う、「介護のお金」にまつわる話です。
【前回】母の家族葬は115万円。見極めが難しかった内容とその費用について
【最初から読む】仕組みを作って安心。ひとり時間が多い親の見守り/中道あん
母が亡くなって四十九日が過ぎました。
母はちょうど77歳のとき要介護2で有料老人ホームに入所。
それから丸6年で他界しました。
介護が始まった時、避けられないのがお金の話です。
介護サービスを受けるにもお金は必要です。
ましてや老人ホームに入所する場合はタイプも様々あり、まとまった費用が必要な場合も多いでしょう。
特に有料老人ホームの場合は入居金数千万円というところもあります。
大事なことは、親が自分の介護についてどのように考え、どれくらいお金の準備をしているのかを子ども達が把握しておくことだと思います。
在宅も合わせて9年間の介護。
私が親のためにして良かった「介護のお金」の話をしていきたいと思います。
1.子どものうち誰がキーパーソンになるか決めておく
きょうだいは妹がひとりいますが、決定権は全て私がもちました。
子どものうち、誰がキーパーソンになって介護を進めるのか決めておくのも大事かと思います。
いくら仲のよい兄弟だって介護に対する考え方や、温度差はあると思います。
なので、誰かがリーダーシップを取らないとうまく進んではいきません。
2.ご近所にどのような施設があり、どれくらいの費用が必要かを把握する
わが家の場合、入居金数千万円はとてもじゃないけれど準備はできませんでした。
なので初期費用が住居費(家賃のようなもの)数か月分のところを探していました。
ケアマネージャーさんにもお願いして、条件に合う有料老人ホームを探していただきました。
それが終の棲家となった今の老人ホームです。
3.介護の費用をどこから出すのか目星をつける
介護保険をかけているからといって、安心してはちょっと危険です。
ごく普通の年金暮らしならば介護保険サービスを使って払う自己負担額は、全体費用の1割負担です。
1割負担ならそこまでかからないと思いがちですが、母の場合は要介護2で月に2万5千円ほど。
たとえば老齢基礎年金が5万6千円ほどなので、それだけで実に半分近く消えてしまいます。
他に住居費、食費、医療費等合わせて最低でも20万円ほどは必要でした。
それをどこから捻出するかは大事なことです。
親に準備ができていれば問題ないですが、そうでない場合は家族の話し合いは必要です。
母の場合は遺族厚生年金・老齢基礎年金の2本柱の年金収入があったので、足りない部分をどうするかという問題だけで済みました。
それで住む人がいなくなった実家を処分して残りを賄うことにしたのです。
4.親の資産は子どもが管理していい
ずばり、親に財布を預けてもらいましょう。
母の良かったところは、ホーム入居時に、通帳や印鑑を全て預けてくれたこと。
住む人がいなくなっても維持費がかさむ実家を私に生前贈与して手放したことです。
2016年に実家をすっきり片付けることができました。
そして不動産屋さんに相談して、賃貸と収益売件の両方で広告を出してもらうことにしました。
数か月間家賃収入を得たあと、実家はすぐに売れました。
毎月家賃収入があるのは有難かったのですが、万が一地震や台風被害があれば、家の修理費用も予測されます。
持っていても負の財産だと戦々恐々としていたのも事実。
実際には2018年大阪北部地震の時でもどうにもなかったようですし、今もそのままあるので、手放したことが正解かどうかは分かりません。
でも自分で決めたことなので納得しています。
実際、6年間にかかった介護費用はどれくらいだったのでしょうか。
介護が始まってから、介護費用をノートに記帳していました。
77歳で入居し6年間。
介護にかかった費用をざっくり計算してみました。
平均して月に22万。合計1,584万円でした。
そのほか、施設までの交通費、差し入れなど細々として費用も、年月がかかればバカにはなりません。
実家の空き家問題も介護とは関係深い費用です。
実家のリフォーム代、片付け代行、不用品処分、不動産譲渡税及び取得税、登記免許税、不動産売買手数料、司法書士費用などは別途必要でした。
最後に、入居していた部屋をキレイにリフォームして返却しました。
その費用が9万ほどでした。
こうして改めて数字にしてみると、自分の時は...と考えてしまいました。
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