アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。今から20年以上前、私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。
【前回】脳梗塞の後遺症が残る義父。小狡く、なし崩しでリハビリをサボろうとする姿にイラッ/かづ
【最初から読む】アッシー・メッシー・貢君だった彼が突然父に結婚の挨拶! 夫との馴れ初め/かづ
舅から「ケアマネさんの所に一緒に行ってくれ」と頼まれた。
なんと、舅は家族に内緒で介護施設への入所をお願いしていたのだった。
ケアマネさんに会って聞いてみると、驚く事に舅は既に2カ所ほど施設の見学に行っていたとの事。
冷たいようだが、「お義父さん施設になんか入らないでください」と言う気はさらさらなかった。
むしろ、入って欲しい状況なのに本人が嫌がって難儀するという話の方が多く聞く。
幸いな事に、夫は一人っ子の上に親戚たちとはほとんど付き合いがないので、舅が施設に入ったとしても何かを言ってくる者はいない。
ましてや実の息子である夫自身も、家で最後まで看取りたいなどとはこれっぽっちも思っていない。
自分に介護が降り掛かって来ない限り、同居でも別居でもどうでもいいのが夫だ。
ならばなぜ同居を続けているのか。
住まいが同じマンションで徒歩2分の近さじゃ、火でも出されたり、家で倒れて亡くなって数日間なんて事になったら、舅の事など知ったこっちゃないとは出来ない。
舅とケアマネさんの話しぶりで、舅がケアマネさんに口止めしていたのだろう事が分かった。
それでその日、私を一緒に連れてきた目的とは「舅が気に入った施設に家族も一度見に行った方が良い」とのことだった。
場所は自宅から車で軽く1時間ほどの所で、おそらく舅は早く入れる所と言う事で、場所は選ばずだったのだろう。
舅はもしかしたら私に反対されると思っていたようで、私が反対の言葉を一言も言わなかったのにホッとして始終にこやかだった。
見学に行く日を決めてこの日は帰宅。
私が何も言わない事に、舅はビビることなく一山超えた様子だった。
夫が帰宅した頃には舅は寝ていたが、そのことを報告するも、想像通りに夫は驚くことはなかった。
翌日の朝も、舅と夫は顔を合わせても昨日の施設入所に向けてのケアマネさんとの話には何も触れることなく、普段通りの朝だった。
夫としては「親父がそうしたいなら」とすんなり受け入れている様子で、私としては血の繋がった親子なのにと不思議にも思うが、長年の親子関係を見て来た事から、この家族はそうなんだと納得もした。
施設見学の日は現地でケアマネさんと待ち合わせをし、施設の事務長の案内で施設内を見て回った。
舅は以前一度見に来ているので、おおむね家族である私に説明して案内する内容だった。
入所するとなった場合に舅が入る予定の部屋を見せて貰ったが、個室になっていて広さは6畳ほどだったが、今舅が生活している部屋とほぼ変わらない。
ベッドがあって洋服ダンスと家具調デスクがあった。
お世話をしてくれている介護士さんからは、入所した場合この部屋に収納できるだけの衣服しか持って来られない事を言われるが、舅は着道楽ではないのでこの点は問題がない。
ちょうど昼のご飯の時間になったので、少し食事風景も見学する。
以前姑が他の施設に入所した際に、入り口入った所から既に尿臭が激しく姥捨て山状態で絶句したが、この施設は気になる様なところはないので安心した。
帰宅した舅は、この日は帰って来る夫を珍しく起きて待っていて、「駅まではバスで10分くらいで、駅ビルには本屋があった」だの「食事の時にビールやウイスキーを飲んでる人がいた」だのと、饒舌に施設の説明をしていた。
確かに施設の少し手前にバス停があり、そこから駅まで10分ほど。
駅ビルには飲食店やコンビニに本屋もあった。
そして食事の際には数人だけだが、食事の乗ったトレーにグラスに入ったウイスキーや、小さい缶ビールが一緒に置かれていた。
夫も「そりゃ良かったやん」と相槌を打っていて、翌日ケアマネさんに連絡して舅の施設入所が決定した。
舅の施設入所に関しての手続きはすべて私が行い、夫は入所日には休みを取る事になった。
恐らく毎日自宅でリハビリをさせられるのが嫌で、舅が思いついたのが施設入所だったのだろう。
舅はさながら掃除洗濯炊事付きのマンションで一人暮らしをするかのように、ウキウキと入所日を心待ちにする日々だった。
私は舅が大きな勘違いをしている事に気が付いていたが黙っていた。
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