<この体験記を書いた人>
ペンネーム:やまと
性別:女
年齢:41
プロフィール:10歳年上の夫と二人暮らしの主婦です。
3年前、コロナ禍もなくまだ街に外国人観光客があふれていた頃のことです。
化粧品ショップで買い物をしていると、高級化粧品のコーナーから50代くらいの女性美容部員が20代の若手に説教する声が聞こえてきました。
たくさんのお客さんがいる前なのに大声で怒り、しかも言っている内容が「私の若い頃はもっと売ったのに、あなたは全然売れない。もっと押さなきゃダメ」というように、商品をゴリ押しさせるようなものでした。
若手美容部員は黙ってうつむき、先輩美容部員の話を聞いています。
おそらく先輩美容部員の「若い頃」というのはバブルで景気も良かった時代。
高級な化粧品が売れるのも当然だったと思います。
それに比べて現代はネット上に情報があふれていて、プチプラ化粧品で品質の良いものに関する情報も簡単に入手できるので、高級化粧品を売るのは大変だと思います。
昔と今とは違うのにな...と思っていたら、そこに20代くらいの若いアジア人観光客の女性が近づいてきて、片言の英語で先輩美容部員に話しかけました。
すると先輩美容部員は「え? 何語? 何言ってるか分かんない!」と言い出します。
そして、化粧品ブランドの名前を繰り返し、商品を指差し「クリーム、ソープ」などと言うだけで、観光客の言うことを聞こうともしません。
観光客は困ったような顔をしてゆっくりと英単語を話していましたが、先輩美容部員にはまったく通じないようでした。
すると、若手美容部員が簡単な英語で観光客に話しかけました。
観光客も簡単な英語で自分の欲しいものを伝え、若手美容部員がいくつか商品を見せると楽しそうに選びます。
その後も若手美容部員は中学生レベルの英語と、身振り手振りで商品を説明し、観光客の要望を聞き、それに合った商品を勧めていました。
結果的に、観光客は10万円近いと思われる高額な買い物をして笑顔で帰っていきました。
「何なのあれ、何言ってるんだか全然分かんない! 私英語しゃべれないし」
先輩美容部員はそんなことを言っていましたが、別に若手美容部員は英語がペラペラなわけではなく、義務教育で習う範囲の簡単な英語しか使っていませんでした。
商品が売れたのは、観光客の女性の言うことを真摯に聞こうとしたか、しなかったかの差だけだと思います。
先輩美容部員は不服そうにしていましたが、若手美容部員が売り上げを上げたのは事実。
今は昔と違ってゴリ押しだけじゃだめなんだよ...心の中でそう思いました。
若手美容部員を見るとホッとしたような顔をしていたので、見ていた私もホッとしてしまいました。
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