<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女
年齢:52
プロフィール:52歳のアラフィフ兼業主婦。最近不思議な体験をすることが多いです。
私は52歳の兼業主婦です。
数年前に実父を病気で亡くしています。
これは2020年の話なのですが、私は父の月命日のお墓参りに行っていました。
その日は雨が降っており、実家の母親(70代)も一緒に行くと言っていました。
しかし父のお墓のあるお寺は山の中腹にあり、さらにお墓はそのお寺の駐車場から少しきつめの坂道を登らないといけません。
高齢の母が滑って転んでは危ないということで、私一人で行っていました。
前日から降り続いている少し強い雨の中でしたが、いつも通り線香を焚いて父の好物だったお菓子をお供えしました。
「今日は危ないから母さんは来てないよ。来月は一緒に来るから、ごめんね」
そう思いながら手を合わせて帰ろうとしたとき、ふいに墓石の隣に誰かが立っているような気がしたのです。
そちらを見ましたが、見えるのは墓石だけ。
人影などありませんでした。
墓地ですし、普通だと怖い話のようですが、そのときの私はなぜだかそれが父のような気がして怖くもなんともありませんでした。
それよりも「お父さん、何か用事なん?」と自然と思ってしまい、先ほど気配を感じた方に足を進めました。
すると墓石の隣の側溝に落ち葉が溜まり、お墓の敷地内の水はけが悪くなっているのに気が付きました。
私はまた自然と「なるほど。きっとこれを掃除してほしいんだ」と思い、そのまま傘を差しながらその側溝を掃除してから帰ることにしました。
そして掃除が終わったあと、私はもう一度お墓に手を合わせてそこをあとにしました。
坂道を下り、お寺の駐車場に置いてあった車に乗り込んで帰ろうとしたそのときです。
ここへ来るとき車で通ってきた道が雨で崩れていることに気が付きました。
慌てて傘をさして車を降りるとお寺や近所の方が出てきていました。
話を聞いてみると、ほんの数分前にいきなり崩れたのだと教えてくれました。
特に水がしみ出ていたわけでもなく、今まで崩れたこともない場所だったようで、ご近所の皆さんも本当に驚いていました。
私は来た道とはまた別の道で家に帰りましたが、家に帰ってからこの話を母にすると母は少し青ざめながら言いました。
「落ち葉を拾っとれへんかったら、あんたがそれに巻き込まれとったかもしれんね」
そう言われハッとしました。
「お父さんが今帰ったらあかんって知らせてくれたかもしれんね」
そう言って笑って「お礼言うとかんとね」と仏壇に手を合わせ始めた母の隣で、私も慌てて一緒に手を合わせました。
偶然なのかもしれませんが、私は今でもあれは父が私のことを心配して引き留めてくれたんだと素直に感謝しています。
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