<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ころちゃん
性別:男
年齢:54
プロフィール:学習塾など子どもたちにじかに接する仕事をしてきました。親の介護も心配になってきた今日この頃です。
50過ぎの私が教室責任者としてつい最近まで勤めていた個別指導塾は、30歳過ぎのオーナーが、大手学習塾チェーンと契約を結び運営する3つのフランチャイズ(FC)教室の一つでした。
看板を預かり、物件探しから備品の調達、業務上の情報提供やホームページでの広告集客等のフォローを受け、売り上げからロイヤルティを支払うという、コンビニとほぼ同じ形態です。
そしてオーナーは、自ら教室の一つの責任者も務めていました。
あるとき、彼は不正を始めました。
こっそり自分の塾を立ち上げ、バイト講師や生徒を自分の運営するFC塾から盗みだしたのです。
具体的には、FC塾の広告を見てやってきたお客様を、FC塾には本来存在しないコース、つまり自分の塾に入塾させ、何食わぬ顔でFC塾で使っている教室をそのまま使用します。
FC塾の帳簿上では入塾者がないためロイヤリティも発生しません。
これは明らかに契約違反の横取り行為です。
しかもこのオーナーは、自分の塾のホームページに堂々とFC教室の写真を転載し、厚かましくも「我が塾の指導の場」とまで書くほど、大胆に不正を行っていたのです。
名簿上生徒が増えないと、たびたびFC本部の指導が入りますし査察もあります。
通常本部のスーパーバイザーは、マニュアルに沿って正しく運営が行われているかを見に来るわけですが、見に来てみると名簿にない生徒の存在が露見する、となります。
すぐに本部にばれ、オーナーは社長から直々に呼び出され、契約違反のペナルティを課せらました。
雇われ責任者の私たちとしては、共犯の疑いをかけられた可能性もあるため本当にいい迷惑でした。
さて、とにかくこれでオーナーの悪事も終わったと思っていた私でしたが、彼は密やかに横取り行為を続けていたようです。
そんな中、彼の言動に疑念を抱く人もいて、こういった人たちがFC本部に直接連絡し、悪事は再度白日の下に晒されることになりました。
ある日オーナーが外を見ると、数名の保護者と大手学習塾チェーンから派遣されたスーパーバイザー(SV)が外に立っていました。
動かぬ証拠を突きつけられ、ついにオーナーは観念し、FC契約は打ち切られました。
オーナーが所有していた3教室は本部が回収し、彼は全てを失いました。
「買い取り」の建前ですが、理由が理由だけにその値段は随分低く抑えられたようです。
それでも大人の対応としてSVが最後のあいさつに訪れたとき、オーナーは本性を現し、SVに暴言を履きました。
「出ていけ」
「お前らなんかに用はない」
そして備品のキャビネットを叩き潰し、SVを追い出しました。
見苦しい限りです。
とばっちりを食ったのは、私たち雇われ教室責任者です。
私たちの雇用主はオーナーだったため、彼の契約解除で私たちも失職しました。
通常の譲渡の場合、私たちの雇用は次のオーナーに引き継がれるなり、本部と契約するなり何らかの措置もありますが、こんな犯罪まがいの不正が原因だとそれは無理な話です。
今まで共に仕事をしてきたSVが最後のあいさつに立ち寄ってくれたとき、気の毒そうな顔をしていたのが印象的でした。
それにしても、まがりなりにも子どもたちの成長を日々見守る立場にいる人間が、何をしているのでしょう。
純粋に勉強をがんばっている子どもたちに、何と言うつもりだったのでしょう。
こんな人に図らずも関わったときどうしたらいいのか?
私には分かりませんが、一つ言えることは、自分の身は自分で能動的に守らなくてはいけないということです。
日本は身の危険は少ないかもしれませんが、ぼんやりしているとあらぬ不正に巻き込まれてしまうと身をもって感じた出来事でした。
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