祖母の介護を母に押しつけた叔父。祖母が亡くなった日、開口一番言ったことは...

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ペンネーム:OTAFUKU
性別:女
年齢:49
プロフィール:現在2人の子持ちの既婚です。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

もう30年程前の話です。まだ独身だった私は実家暮らしをしており、実家には83歳になる母方の祖母も同居していました。当時50代半ばだった母は5人姉兄の次女です。

その頃の祖母は、母の姉兄の家で暮らしては結局上手くいかずに我が家に帰って来るという生活を繰り返していました。帰ってくるといつも安堵の表情で「ここがええ」としみじみと言っていたことを昨日のように思い出します。

各家庭それぞれに生活パターンも違い祖母が馴染めなかったのと、男兄弟の家ではやはり嫁姑の確執もあったのでしょう。
私の父は自分の両親を母が看取ったこともあり、祖母の同居に関しては何も言わず受け入れているようでした。

そんな毎日の中で少しずつ祖母に認知症の症状が表れてきました。はじめは「私の財布どこにいった?」と言い出すような、こちらの思い過ごしかな? と思うくらいの小さな出来事が続き、その内に意味のわからないことを大声で叫び続ける、「弄便」といわれる自分の便を壁や自身にこすりつけるような行為も始まりました。深夜徘徊で近所の家に「助けて下さい」と飛び込んだりということも頻繁にあったのです。

その頃の母はフルタイムで仕事をしながら祖母の介護をしていました。今のように社会的支援も豊かな時代ではなかったので誰かに力を貸して貰うことも出来ず、徘徊防止の為に祖母の部屋のドアを外から鍵を掛けて仕事に出ていた時もあります。一日中気の抜ける時間はなかったのではないでしょうか。

勿論私を含めた家族も出来る限りの協力はしましたが、祖母は誰よりも母を求めていたので、母が心身共に背負っている負担は軽減されてはいなかったと思います。

母の姉兄は祖母のそんな状態を知っていてもほとんど顔を見に来ることもなく、たまに来たと思ったら10分程顔を見て「元気そうでよかったわ」と帰っていきます。

どこをどう見たら元気なのだ、とまだ20歳そこそこだった私は唖然としましたが、常々母が波風を立てたくないと言っていたこともあり、その言葉は飲み込むしかありませんでした。

祖母はどんどん衰弱していき、最後は寝たきり状態になりました。

それでも母は弱音を吐かず、全身全霊で祖母の介護をし続けました。
相変わらず母の姉兄はほとんど顔を見せませんでした。

そしていよいよ祖母の命の灯が消えてしまった日。

連絡を聞いた母の兄姉が駆けつけてきました。
そして開口一番「お祖母ちゃんの通帳をくれ」と言い、祖母を亡くし憔悴している母が何も言わずに差し出した通帳の中を舐めまわすように見ていたその姿を、私は嫌悪感や怒りを堪えながら見ていました。
そこに叔母が「まだ(通帳が)あるでしょ? これだけ?」と言い放ちました。いかにも母が祖母のお金を使い込んだようなその言い方に、私は涙が溢れました。
介護をする上でどれだけ目に見えないお金が必要なのか、どれほどの心労があるのかを何も知らないのだなと痛感しました。

その後の葬儀で喪主となった叔父は参列して下さった方々から労いの言葉をかけられ、神妙な顔で挨拶をしていました。傍から見るとその姿は【一生懸命母親の面倒を見た息子】以外の何者でもありません。

「大往生やった」と談笑していた親戚の顔を見るだけで怒りがこみ上げてきました。

葬儀の間、私は母の背中を見ていました。

誰にも何も言わず、ただただ悲しみとやり遂げた日々を思い返していたであろう母の背中は小さく見えました。

一連のことのどこをどうとっても納得いかないことだらけだった私の気持ちを察した母は「何も言わなくていいから。家族が(介護の大変さを、母の苦労を)分かってくれていたらそれでいいから」と呟きました。

後になってから父も、あの時怒りを飲み込んでいたのだと知りました。

祖母の介護をしていたあの数年のことは未だに忘れません。

それと共に私の親戚に対する気持ちも、あの日以来何も変わっていません。生涯忘れられないと思います。

現在母の兄姉も現在はもう70代後半になっています。

自身の行く先を案じているようで子供が面倒をみてくれない、と言っているようです。
そんな話を聞く度に鼻白む思いになります。

何よりお金か、と思わされたあの一件は私にとって本当に勉強になった出来事です。

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