<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ベンジャミン
性別:女
年齢:52
プロィール:持病のため入退院を繰り返す父。いつも通りの入院だと思っていたら......。
私の父は現在70代後半。持病があるため入退院を繰り返しています。
その日も父の持病が悪化したため母を伴い病院へ。予想通り即入院となりました。
両親も私も急な入院には慣れていますので、慣れた感じで準備を進めていたのですが、その日は父の様子がいつもとはちょっと違っていて、突然意味のわからないことを言い始めたのです。
はじめは看護師さんに向かって「家で何も食べさせてもらえないから餓死寸前になっているんよ。だからガリガリに痩せてるじゃろ。それで今日は入院するんかな?」と言っているのです。
もちろん、そんなことはあり得ません。
少し変だなとは思いつつも、「プクプクのお腹で何言ってるんだか......」と、きっといつもの嫌がらせだと考えていました。
...というのも、父は入院するのが嫌いなので、「入院」と聞く度に周囲に八つ当たりしたり、何かしら嫌がらせを仕掛けてくるのです。
そんなわけで、「いつものアレだろう」くらいに考え、適当にあしらうことに。
しかし、そうこうしていると今度は母に向かって「俺は今拉致監禁されているんだから、早く助けを呼ぶように。今すぐ娘たちに連絡しろ」と言い出したのです。
娘の私が目の前にいるのに!
ここでようやく、「これはいつもとは違う」と気づき看護師さんに相談。ほどなく医師が駆けつけ、父とすこし会話した結果「せん妄の状態にあるのだろう」との判断が下りました。
医師曰く、この「せん妄」は高齢者には珍しくない病気だそうで、急激な環境の変化についていけず、精神的に不安定になり引き起こされている状態なのだそう。
症状には個人差があるようで、症状があまり出ない人もいれば、とてもひどい状態になって、普段とは別人のようになる人もいるのだそうです。
父の場合、もともとの不安を感じやすい性格、入院という環境の変化が不安や混乱を招いて、状態に陥っているようでした。
その後も、目の前に母がいるにも関わらず母を探して「どうしてかあちゃんがいないんだ!」と怒ったり、「俺が入院していることをねえちゃんに連絡してこい!」と私に命令するのです。
父の言う「ねえちゃん」は、何年も前に他界している人なのに......。
こうなると完全看護の病院でも付き添いは必須となり、その日から2週間ほど家族総出での付き添いが始まりました。その間私は2日間を父と過ごすことになったのですが、これがまあ大変。
普段の父、高圧的な父、子ども返りしたような父と、その振る舞いは分単位で変化します。これにはさすがについていけず、体力的にも精神的にも疲労困憊。帰宅と同時にバタンキュー状態になりました。
今も時々父はせん妄の状態に陥ることがあり、その度に誰かが夜通し付き添うことに。その順番が自分に回ってきたら気が重いのが正直なところです。
でも、そんな父のせん妄との付き合いも回を増すごとに、「少しは上手く寄り添うことができているかも」と、そんな風に思える自分がいます。
関連記事:霊柩車に続いて救急車!? 伯父の葬儀直後、元気だった81歳の父が......
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。