「俺は好きだよ」かたくなだった父の心を溶かした孫の一言

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ねこのしっぽ
性別:女
年齢:52
プロフィール:夫と折り合いの悪い私の実の父。なんとその矛先はひ孫にまでむけられました。しかし、ひ孫の方が一枚上手で......。

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私の父は頑固でワガママ。「小2か!」と突っ込みたくなるレベルです。しかもそんな父はトラブルメーカーで、そのたびに大騒ぎしては家族を巻き込み、その尻拭いを周囲に押しつけます。もちろんそれは私にも飛び火していました。しかし、そんなことが続くのを私の夫は許しません。父にキッパリNOを突き付けた結果、父は夫を毛嫌いするようになりました。

そのときのことをずっと根に持っている父は、坊主憎けりゃ......とでも言いたいのでしょう。私の孫、父にとってのひ孫たちまでも毛嫌いするような振る舞いをはじめました。
例えばこれは実家に立ち寄った際の出来事。ひ孫の顔を見ながら「アイツに似ているから可愛くない」と、憎まれ口をたたきます。
また別の日。最初不在だった父がほどなく帰宅しました。そして孫達の顔を見た途端苦々しい表情に変わり、「また来とるんか! ワシはもう一回出かけてくるわ!」と不機嫌な様子で出て行ってしまいました。

あまりの傍若無人な振る舞いに、「父とはもう付き合いたくない」とホンネでは思うのです。これ以上孫たちにひどい言葉をかけられたくありませんから。しかし、実際にはそういうわけにはいきません。そんな人でも父だからというかろうじて残っている愛情と母への思いがあります。

そんな複雑な人間関係にどうしたものかと悩んでいたら、なんと下の孫(男の子)がそんな状況をサクッと解消してくれたのです。

それはとある日曜日。久々に母の顔を見に実家に立ち寄ったときのこと。家に入ると父にどんなひどい言葉をかけられるかわかりません。そこで、戦々恐々としながらも庭で立ち話をすることにしました。

そこにわざわざ出てきた父は、相変わらず憎まれ口、嫌がらせ、睨みをきかせるなど、不愉快な態度のオンパレードでした。

そんな父の振る舞いに、憤慨とあきらめの感情しかわいてこず、帰ろうかと思っていたのですが、下のお孫ちゃん(男の子)はお構いなしでぐいぐいと父に話しかけます。しかし、父は大人げなく「こっちに来るな!」、「うるさい」、「さっさと帰れ!」など、自分のひ孫に向かって罵詈雑言。普通なら幼い子どもは泣き出してもおかしくない状況なのですが、この子は違っていました。見かねて連れて帰ろうとする私を制して、何を言われようともぐいぐい父に話しかけます。そしてついに「ひいじいちゃんはボクのこと嫌いなの?」と、父の顔をまっすぐに見据えつつストレートな質問を投げかけました。

父は少々怯みながらも「おう、大嫌いじゃ、さっさと帰れ」とひ孫に伝えるのです。あまりのことに、孫の手をひいて帰ろうとしたそのときでした。下のお孫ちゃんから信じられない言葉が飛び出したのは。

「そっか。俺はひいじいちゃんのこと大好きだよ。一緒に遊ぼ」
そう言いながら、にっこり笑って父の手をぎゅっと握ったのです。

一瞬空気が止まったあと、父はなぜかぽろぽろ涙を流していました。そしてその後、孫の言葉通り二人は一緒に遊び始めたのです。

父の涙の意味はいまだ分かりません。「ホントは寂しかったんだろうな」とか、「ホッとして不覚にも泣けたのカナ?」なんてあれこれ想像はつくのですが......。
何はともあれメデタシ。下のお孫ちゃんがサクッと鮮やかにひいじいちゃんの心を溶かした瞬間でした。

それ以来、私の大切なお孫ちゃんは、2人ともひいじいちゃんとは大の仲良し。実家に行くたびに相変わらず「また来たんか」と、乱暴な言葉は飛んでくるのですが、その言葉とは裏腹に、目じりの下がった父の姿がそこにはあるのです。

そんな姿を見るたびに、「ありがとう、私の小さなヒーロー君」と、心の中でつぶやく私なのでした。

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