アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの会長に選出された時のお話です。
【前回】数十万円をめぐる学校vsPTA会長のバトルに決着...円満解決の裏でこっそり「消えた教師」
PTAの定例会では、生徒会担当の倉木先生からエアコンの点検費用について説明をして頂いた。
当然の事ながら、出席していた委員の数名から質問が出た。
「学校の設備なら学校が直せばいいんじゃないんですか?」
だがしかし、倉木先生も子どもの使いじゃないのであらかじめ色々と用意してこの回に臨んでいる。
「エアコンの耐久年数の事を含めて考えて、約半数を買い替える見積もりになりました。予算の関係上全部を一度に買い替える事が出来ないので、今年度の修理・点検に関してPTAにご支援いただけないかと生徒会から要望を出させて頂きました」
「もしその要望に応えられないとなった場合はどうなるんですか?」
「古い台から買い替えになるので、3年生の教室から買い替えになります。来年は2年・再来年は1年と買い替えて、修理や買い替えを急ぐ教室や視聴覚室に美術室なども今回の買い替えに入っています。ご支援を頂けない場合は修理・点検のみで買い替えは先送りになります」
「来年も支援できないとなったら?」
「来年も先送りになります...。修理や買い替えなどはその都度と言うわけにもいかないので...」
「えっ!? そしたら潰れたら修理の時期になるまで潰れたままなんですか!?」
「そう言う事になります...、申し訳ありません...」
当然1年から3年までの委員や役員の代表たちが揃っている場なので、我が子のクラスが先送りになると聞いてあちらこちらで声が漏れた。
さて、私の出番か。
「実際問題、この様な必要経費を授業料などに組み込んで値上げをすれば簡単に解決するんですが、幸いながらPTAの余剰金や繰越金などに余裕がありますので、こちらから支援をさせて頂いても予算的には全く問題はありません。生徒会からの要望書がPTAに出されていますので、皆様に判断して頂きたいと思います」
まがいながらも私立なので、当然支払う額は大きい。
これで更に来年から値上げ?となるのであれば、今あるPTA会費から支払って貰った方がと一同にそう思ったのが分かった。
全員賛成で支出が決まった。
倉木先生は、皆さんに深々と頭を下げてから退席された。
内心ホッとしただろう。
大役ご苦労様でした。
さて、これからが私の本番だ。
「先ほど皆様に賛成を頂いて支出が決まった協力金ですが、実は最初に今日欠席されている坂田先生から私に直接依頼がありました」
何の話が始まるのかと、会計の黒木さん以外、皆が私の顔を見てキョトンとしている。
「私に直接依頼があったんです。『頼むわな』と」
「えぇえぇ!!」
歓送迎会の飲み代に体育祭の弁当代と、皆が「またか!」とどよめいた。
「会議にも諮(はか)らず、私の一存で会計の黒木さんに『出しといて』と言えという事でした」
どよめきが止まらない。
「『会議に諮って皆さんの賛成を頂かないと支出できない』と言いましたし、『私のポケットマネーじゃないですからね』とも言いました。そしたら『我が子が可愛ないんか!』と脅されましてね」
「ちょっと!それ本当!脅迫やないの!!」
同じ本部からも声が出た。
「ええ、だから『お金を出さんかったらうちの子に何かされるんですか!?』って聞きましたよ?そしたら口ごもったんで、副校長や教頭に相談するって言うと『どんだけの力があると思っとんや』って言いましてね(笑)」
皆々が増々どよめく中、笑いを堪える事が出来ずにプッと吹き出してしまった。
「こうやって筋を通しての要望でしたら問題はないのに、会長に裏で頼んで裏で払ってもらおうと思ったみたいですよ。飲み代や弁当代みたいに。
教頭に相談しましたら、『あんたは言わんわな』と笑ってらっしゃいましたけど(笑) ですので、私は自分のお金でもないのに、皆さんに諮る事無く裏で黙って支払う事なんかしません。
今までの会長がそれで美味しい思いをしていたのかどうかは知りませんが、私は自分の子どもには自分の力で勝ち取るべきだと思っているので、学校側に便宜を図って特別待遇して貰おうとは思っていません。学校側に便宜を図ってもらっても、本人に力が無いと先は知れたものですから」
「だから今日は坂田先生は休みなんですか?」
「定例会の直前に帰ったそうですよ?」
「分かりやすいー(笑)」
それから数日後の事だった。
教頭から、PTA担当が生徒会担当の倉木先生に変わったと聞かされた。
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