夫による激しいDV、モラハラに耐えかねて家を飛び出して約10年。
別居していた夫が、昨年10月に孤独死しました。
【前回】別居していた夫が孤独死。遺品整理をすると、辛いことばかりの日々だったのに寂しさと後悔が頭をよぎる

7月に売却が成立していた元わが家ですが、ついに解体されました。
8月初旬、近所の歯医者へ行った帰りに元わが家を見に行ったのですが、解体するにあたり、足場が組まれていました。
不動産会社からは8月のはじめになると聞いていたけれど、足場が組まれていたのを見て、いよいよだなと一抹の寂しさに襲われました。
あの山のような残骸物は、いつ運び出したのだろう?
目をつぶると、家族団らんのいろいろな場面が思い浮かびました。
息子と夫は毎週日曜日、野球の練習をしていました。
夫はそれがとても楽しみだったようです。
数本のバットも、かごいっぱいのボールも私が家を出たときにみーんな置いてきてしまいました。
廊下には子どもたちが幼い頃の写真がたくさん貼ってあって、それも全部そのままにしてきました。
思い出の物たちが全部消えてしまうと思うと、もう一度家に入り、取ってきたい衝動にかられました。
もう家の鍵は不動産会社の手に渡っていたので、どうすることもできなかったけれど。
物を運び出すところ、家屋を解体するところは、あえて見ない選択をしました。
積み上げてきたものが、壊されていくのを見るのは辛いと思ったからです。
お盆に息子が帰省し、元わが家を見に行ったのですが、綺麗に更地になり、砂利がしかれていました。
あの大きなビワの木も、ボロボロになった家屋も、何もなくなっていたのを目の当たりにして、言葉にならず。
これで良かったんだと自分に言い聞かせました。
一緒に行った息子は、「綺麗になって良かった。実家がなくなってしまってもなんとも思わない」と言いました。
娘にLINEで写真を送っても、「すっきりしたねー良かったね」の返信のみ。
元わが家をなくして、感慨にふけっていたのは、どうやら私だけだったようです。
更地になった元わが家を見た後、息子と共に夫が眠る墓地へと向かいました。
昨年10月に孤独死した夫。
10年間別居していた私は、遺骨の引き取りを拒否しました。
このまま無縁仏にしてしまえーなんて投げやりな気持ちもあったけれど、よく考えて、今年3月に義両親が眠る墓地に納骨しました。
5カ月ぶりのお墓、やはり誰も来た形跡はありません。
お花をたむけ、お線香をあげ、夫の墓前に報告しました。
すべて終わりましたと。
DVやモラハラで苦しめられた夫でも、やはりまだ情は残っています。
お墓に入れて良かったと心から思いました。
良い場所だね、お墓参り、また来るからの息子の言葉が嬉しかったです。
いずれ墓じまいをするつもりでいましたが、俺がずっと守っていくからとも言ってくれました。
でも、いずれ重荷になるはず。
10年後くらいに、私の頭がしっかりしているうちに考えたいと思っています。
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