別居中だった夫が、昨年10月に孤独死しました。
つい先日、売りに出していた元わが家の売却が終了しました。
【前回】亡くなった夫の怨念...? 家主のいない古家で勝手につく灯りに背筋が凍る

さまざまな手続きに奔走してきたので、やっと終わったという安堵感、そしてなぜか寂しさにも襲われています。
あんな夫でも一応23年間は共に暮らしていたし、情というものは残っていたのです。
もういないんだなーとふと思ったり、思い出のわが家がもうすぐ解体されるので、すべてのモノが跡形もなく消えてなくなります。
早くすっきりしたいと思っていたのに、いざなくなると思うと寂しくて仕方ないのです。
これは自分でも意外でした。
地元の商店街では、夫のことを何度も思い出す自分がいます。
もっと優しくしてあげればよかったと、後悔の念に襲われます。
この地にいては、過去を引きずるばかりなので、離れることを決心しました。
夫の遺品はまだすべて処分できていません。
結婚式やお宮参り、七五三の写真はやっと最近手放すことができました。
遺品の中には夫の貯金通帳が10冊ほどあり、30年前に亡くなった義父のものもありました。
夫は自営業でしたが、ここ数年仕事ができなくなっていたので、お金はもう残っていないだろうと思っていたのです。
銀行の残高は1000万円あり、思わず二度見したほど。
次の日、記帳に行ってみると、残高は1000円、やっぱりーあるわけないよねとガッカリしました。
夫は年金に加入しておらず、貯金を崩して生活していたのですが、全部の通帳を記帳してみると、総額300万円ほどでした。
人が亡くなったら預金は凍結されて、おろせなくなると聞いていたので、すぐにおろしてきました。
ゆうちょ銀行の相続手続きはちょっと面倒で、子どもたちの住民票、印鑑証明などが必要で、書類を出してから、手元に入金されるまで一ほどかかりました。
夫の直葬代、解剖費、不動産の名義書き換え、固定資産税、滞納していた水道光熱費の支払い、庭の木の伐採費用など、出ていくものが多かったので、少しでも残してくれたことには感謝しています。
胸がいっぱいになったのは、国から支給された給付金には手をつけてなかったことを知った時です。
ある預金通帳は、給付金専用でした。
夫は何年も非課税世帯で、その給付金も印字されていたのですが、おろした形跡はなし。
きっと最後の砦だったのだろうと思いました。
仕事ができなくなっても、税金、光熱費等の支払いはしないわけにはいきません。
減っていく貯金に不安だったに違いありません。
保険証が手元にあっても、病院に行かなかったのは、金銭面の不安もあったと思うのです。
亡くなる一年前くらいから、たびたび助けてコールをしてきた夫でしたが、お金の工面は一度もありませんでした。
見た目はボロボロになっていた夫ですが、まだ小さなプライドが残っていたのでしょうか。
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