10年前に家を飛び出し、別居中だった夫が、昨年10月に急死しました。
大好きだった家の居間で、一人旅立ちました。
あれから8カ月、ようやく、いわくつきの元わが家の売却が成立しました。
【前回】別居していた夫の遺骨を引き取るべき? 悩んだ末に出した答えは...
小学校中学校が近く、バス停も近い、近所にはスーパーもあり、周りは平坦な道、簡単に売れるだろうと、高を括っていました。
売りに出してから、いろいろと出てきた悪条件、一度まとまった話が振り出しに戻ったこともありました。
私は、もう本当に何度絶望したことか。
夫が残した古家の売却、さまざまな手続きは、初老の女が一人でやることじゃないでしょ?と何度も思いました。
でも東京にいる子どもたちには、迷惑をかけたくないと思っていたので、とにかく必死に突っ走ってきた感じです。
夫が亡くなってすぐの11月初め、大事なモノを取りに家に入りました。
不動産の登記簿、通帳関係などです。
夫はいつもそういった大事なモノを、黒いボストンバッグに入れて持ち歩いていたので、そのバックを持ち帰りました。
それで、ホッとしていたら、隣の奥さんから電話がかかってきました。
家に来たの?電気消し忘れているわよと、忠告の電話でした。
えっーおかしいなー、電気はちゃんと消したし、ブレーカーも落としてきたのにと、不審に思いつつ、翌日には一人で消しにいきました。
昼間でも薄暗い元わが家、正直とっても怖かったです。
四十九日も済んでいなかったので、夫の霊がいるのでは?なんて思ったりして。
ついていたのは、2階へ上る階段の上の電気でした。
しっかり消して、ブレーカーも落とし、ササっと元わが家を後にしました。
電気がついているのは、不思議だったし気持ち悪かったので、もう電気を止めてしまおうと、東京電力に電話をしました。
電話も水道も全部止めたのですが、この作業も地味に面倒でした。
なぜって、名義が26年前に亡くなった義父のままになっていたのです。
電気を止めたのだから、もう電気がついてることはないだろうと安堵していたところ、また隣の奥さんからLINEが来ました。
今度は、写真付きで、元わが家の仏間の電気がこうこうとついていたのです。
電気がついていた写真を見て、背筋が寒くなりました。
電気も消したし、ブレーカーも落とした、電気の解約もしたのに、なんで電気がついているの?と。
さすがに、元わが家に一人で入る勇気はありませんでした。
隣の奥さんの助言で、近所の交番に連絡し、お巡りさんに同行をお願いしました。
警察官は二人来てくれて、一人の方が、中に誰かいるかもしれないから、私が先に入りますと入ってくれました。
その後に続いて私も中に入り、電気を消しました。
気持ちの問題かもしれないけれど、その時も背筋が凍るような感覚になりました。
しっかり落としたはずのブレーカーも上がっていたのです。
夫は、親から譲り受けたこの家が大好きで、どんなに貧困にあえいできても、売らずに守り続けてきたのです。
勝手に売りに出した私を怒っているのか? 夫は霊になって、この家にとどまり続けているのでは?などと思いました。
警察官は、怪奇現象なんて信じないのでしょう、家に入れる人の心当たりはないか?と聞いてきました。
鍵を持っているのは私一人だけど、そこでハッとしました。
心当たりがあるとすれば、夫の義兄です。
父親違いのお兄さんが二人いて、その一人が何回もこの家に、泥棒に入ったことを聞いていました。
でも、とっくに亡くなっていると思ったのです。
生きていたの?
そして、何かとるために家に忍び込んだのか?
この兄は、悪知恵が働く人で、鍵を持っていなくても、こじ開けて入る事が何回もあったでそうです。
鍵をかえても盗みに入っていたと聞きました。
電気がついていた原因は、今でもわかりません。
夫の霊なのか?
義兄が存命で義兄の仕業なのか?
どちらにしても、怖いです。
警察官には、元わが家の見回りをお願いし、東電にも電話しました。
電気は通ってないのに、なんで電気がついていたのか?と問いただしたのです。
解約しても電気はすぐに止められないみたいなことを言われたので、電気がついていて近所のクレームになってるから、すぐに止めてくれとお願いしました。
それからは、電気がつくことは、なくなったけれど、さまざまなことで、家の売却に問題が発生しました。
夫が売れないように邪魔してるんだなんて、何度も思いました。
結局、とんでもない安価で、元わが家を手放すことになりました。
私は、もう一日でも早く元わが家を更地にもどしたいという気持ちが大きくなっていたのです。
地元の不動産屋さんに、買い取りをお願いしました。
契約はすみ、後は引き渡しの日を待つだけになりました。
また梯子を外されるのでは?夫が邪魔しにくるのでは?という不安もありますが、その日が来て、元わが家が解体されるのを心待ちしています。
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