昨年10月末に、別居中の夫が孤独死しました。
警察から電話があり、夫の遺体が安置されている警察署へ向かったのですが、身体中の震えが止まらなかったことを覚えています。
【前回】亡くなった夫所有の家を売却。問題山積みの古民家が簡単に売れるわけもなく...
会わなくてもいいと刑事さんに言われ、ホッとした自分がいました。
「お父さんに何かあったら帰ってきてね」と、息子にはお願いしていたのに、大学院の大切な授業があるとかで、突然の帰省は無理でした。
その時、震えが止まらなくて、思わず友人に連絡。
彼女は私の動揺を察して、警察まで付き添ってくれました。
刑事さんとの話でまず聞かれたのが、夫を引き取るか?ということ。
夫の遺骨を現在住んでいるマンションの一室に持ち帰ることは、どうしてもいやでした。
引き取りを拒否するなら、市役所にすべて投げ出すこともできると言われ、一度はその方向に気持ちが傾いた私です。
拒否をすると、荼毘にふすことも、市がやってくれ、費用がかかりません。
その後は、無縁仏として市役所の一室に安置され、少しの期間を置いてから、市内のあるお寺に納骨されるということでした。
子どもたちと相談し、私も悩みに悩み、無縁仏にするのは可哀想だからと、引き取ることを決断しました。
警察署から、司法解剖場所へ、そして火葬場への流れは、すべて地元の葬儀屋さんにお願いし、お骨になった状態で市役所にあずかってもらうことにしました。
あれから半年たった3月下旬、私はやっと夫を迎えにいくことができました。
夫の両親が眠る市営墓地のお墓に納骨することを決めたのです。
まずやったのは、お墓の名義書き換えです。
市営墓地の事務所まで出向き、申請しました。
子どもたちと都合の良い日を決め、市役所、市営墓地、石屋さんに連絡しました。
納骨の費用は、3万円、石碑に名前を彫るなどは省略しました。
まず最寄り駅で子どもたちと待ち合わせし、息子がカーシェアで車を借り、市役所へ夫を迎えに行きました。
市の担当者は、何度も何度も引き取りに来てくれありがとうとお礼を言われました。
5カ月も預かってもらい、お礼を言うべきなのは、こちらなのに。
現在も、何体ものお骨が市役所に置かれているらしく、さまざまな引き取りができない事情があると言います。
私のように引き取りに行くのは、まれなのかもしれない。
だから何度もお礼をされたのかもしれません。
白い袋につつまれた夫のお骨。
そこに夫の名前が書かれていたのを見て、これは夫なんだ、夫は本当に死んでしまったんだと実感しました。
息子の運転する車で市営墓地へ。
そして墓地の係の方立ち合いの元、無事に納骨することができました。
夫は息子に、いつか車を買ってやるからと言っていて、息子が運転する車に乗るのを楽しみにしていました。
残念ながら、お骨になってからになってしまったけれど、魂というものが存在するなら、夫は喜んでいたと思います。
夫の骨を始めた見たけれど、白くて大きくて、しっかりとして見えました。
持ってみると、ずっしりと重かったです。
無事、納骨を済ませ、三人で食事に行きました。
三人でご飯を食べるのはいつぶりだろう?
こんな時は、父親の思い出話をするのが普通かもだけど、二人はその話にはふれず、義両親のお墓に入って、お父さん安心したかもねと言っていました。
それでも、夫のために帰ってきてくれたことが嬉しく、幸せな時間でした。
一年に一回は、三人でお墓参りしたいねとも言ってくれました。
夫の納骨を終えて、ほっとしました。
あとは、元わが家を売却すること、大きな仕事が残っています。
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