アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
【前回】「ここは喫茶店か?」PTA定例会で雑談が止まらない3年役員達。低学年役員は黙りこくり...
元PTA会長の米沢さんがなぜか引き続き会議に出席していて、我が物顔でその場を牛耳っている。
小中のPTAしか経験のない私としては、元PTA会長が引き続き会議に出席し続ける事がどうしても不可解だった。
そこで、次の定例会の連絡網を回す際に、私の次である同学年の会計の黒木さんに聞いた。
「PTAの会議って、毎回前会長が出て来てるんですか?」
「毎回って事は無いけど、出て来る人もいれば全く出て来ない人もいるんよ」
「去年はどうだったんですか? 米沢さんの前の会長は出て来てたんですか?」
「米沢さんの前の会長は出て来てなかったけど、初代会長って言うのが何度か来てたわ」
「しょ、初代会長??」
「そう、杖付いたお爺ちゃん。『PTAはわしらが作ったんや』って言うてたわ」
「ねぇ、PTAって前会長や元会長が出て来るのって普通?」
「いやぁ~、私も初めてよ」
ですよねぇ...。
次の定例会にも米沢さんは出て来ていて、相変わらず喫茶店のように3年生が口々に好きなように喋り、それに合わせて米沢さんが合いの手を入れて物事を決定しようとする。
そしてそのたびに私が会話を遮り、2年・1年に意見を聞くも皆黙り込み、結局3年の発言のみで決定していった。
いや、進行内容がどうであれ、結果オーライだったらそれで良い。
ところが行事になったら3年生たちは口ばかりで、2年・1年に指図するだけで自分たちは何もせずなのだ。
私は次の定例会までに、秘密裏に一度2年と1年の役員だけで話がしたいと提案してみた。
これで誰も集まらないならそれまでで、私の出方もそれなりに決めようと思っていた。
それが思いのほか2年・1年のほぼ全員が参加すると連絡が来た。
会議室の使用許可を貰う為にPTA担当の坂田先生に理由を話すと、「来年からはあんたらが中心になるんやからな」と二つ返事で許可してくれた。
もちろん会長の清水さんにも話を通しておいた。
会長に説明すると案外すんなりと賛成してくれたが、その理由を聞いて驚いた。
「僕は去年1年間に半分以上定例会には出てへんのや。それでも会長になってくれって言われたから一度は断ったんやけど、周りがサポートするからって言われて引き受けたんや。3年で男が僕だけやったからとちゃうか?
正直言うて、かづさんにほとんどお任せする事になるから、やりやすいようにやって貰ってええで。女ばっかりの集まりは毎回あんなんやから、僕はただ座ってるだけしか役に立たんしな。
去年も米沢さん中心に3年だけでやっとったし、それ見て来てるから今年の3年も自分らだけで決めるもんやと思っとるんやろ。僕、そんなん相手に出来へんしな」
他のPTAがどうとかではなく、このPTAがずっとこうだったんだという事だった。
それにも増して、互いに協力し合って周りがサポートするのは当然だが、年間半分も出席しなかった清水さんを会長にした理由は『男だから』と言う部分に驚いた。
要は『男が清水さんだけだった』から会長に置き、後は全て副会長がするからという説得で引き受けたらしい。
なるほど、それで役員の仕事内容や役員の名前もほぼほぼ知らなかったのか。
「ところで、前会長の米沢さんはなんで毎回来てるんですか?」
大事な部分だ。
「さぁ? なんで来とるんやろな?」
「決まりは無いんですよね? 勝手に来てるんですか?」
「よっぽどPTAが好きなんやろな(笑)」
私もどっちかというと今まで生徒会やら委員会やらPTAが好きな方だが、呼ばれもしないのにホイホイ出て行くほど暇ではない。
暇だったとしても、そこまで図々しくは無い。
「断れないんですか?」
「僕が!? いやそれは...。向こうは出席する権利があるって思ってるからなぁ...」
まぁ、そんな事を言ったところで、この会長には無理なのは分かった。
とりあえず2年・1年で集まって、これからの話をしてみる事にした。
会議室に集まったところで、定例会の様に誰も発言しなかったらどうしようと思っていたが、意外や意外、皆さんが『おかしい』と思っていた事が分かった。
去年の1年間を知っている2年は、やはり3年だけがペラペラと喋って決めていく事に『おかしい』と思う1年間を過ごし、今年入った1年もこの3年だけが雑談の様に喋っていく中で物事が決定されていく事に『おかしい』と思っていた事が分かった。
更に2年が黙っている事に『おかしい』と思いつつも、2年が黙っているからこそ1年は発言が出来ないので質問も出来ないと言う。
「定例会であれだけ3年がアレをコウしろコレをアアしろと決めておいて、当日になったら自分達は指図だけでずっとお喋りしてるんですよぉ!」
「なに? 私達って3年の部下??」
「なんでよ! 給料出てるわけでもないのに!(笑)」
定例会では誰も何も言わずに黙ったままだったが、3年がいないからこそなのか次々に意見(文句?)が出て来る。
「ねぇ、聞いていい?」
黒木さんが神妙な顔で聞く。
「かづさんって、学校側のスパイなん?」
はぁぁぁ!?
「だって欠員補充って聞いたけど、いきなり副会長やし...。それに卒業生やし先生達からの推薦なんやろ?」
もう驚きすぎて、恐らく口が開いたままだっただろう。
「いやいやいや、これこれしかじかで...」
役員になった経緯と私自身も全く聞かされていなかった副会長だった事を説明すると、皆が声を上げて驚いていた。
「そうだったんや! 私らてっきり学校側が差し向けたスパイかと...」
「だって3年がそう言うてたやんなぁ」
「うんうん、私も聞いた!」
なんだそのスパイって...(笑)
そうか...、3年は私が学校側のスパイやから、絶対に主導権を握らせんように排除しようとしてたんやな。
「あんな、これからの事は私に任せてもらえる?」
皆がうんうんと頷いてくれた。
「私らあんたについていくわ(爆笑)」
黒木さんが私の肩をポンポン叩きながら言い、皆も大笑いした。
「では! 頑張りましょうか!」 2年・1年みんなの顔が活き活きしていた。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。