アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの会長に選出された時のお話です。
【前回】あの人が新副会長? PTA総会の引き継ぎ式で不可解な人選にあちこちからヒソヒソ声が...
PTA総会が無事終了し、とりあえずはホッとした。
元3年生たちとも今日限りで二度と会うことはないのだと思うと、口元が緩んでくる。
総会後に開かれる歓送迎会は毎年旧副会長の担当だったので私の仕事だった。
しかしながら毎年同じ店で開かれているので、日時と金額さえ決まれば店に電話1本入れるだけで済んだ。
毎年おおよその人数が分かっているので、大きな人数の変更はない。
PTA会費から1人1000円の補助金が出るので、それを引いた金額を当日参加者から集める。
PTAは会計の黒木さんが、教職員の分はPTA担当の坂田先生が集めてくれた。
昨年初めてこの歓送迎会に参加した時は、保護者が瓶ビールを手にして生活指導や就職進学担当の教師に「うちの子をよろしくお願いします」とお酌の列を作ったのを見て大変驚いた。
案の定今回も、校長の挨拶から始まり退任した元会長に新会長の私と挨拶が済んだあと、参加した新役員と委員達がビールを手にして我先にと先生方に殺到する。
こんなところでわずか1~2分ほど「うちの子を...」と行ったところで、どれほどの教師が覚えているのか。
覚えていたとしても、それが我が子に対して何か有利になることに繋がるとは思えない。
まぁ、でもみんながゾロゾロとお酌の列を作っているのを見たら、自分もアピールしないとと思うのだろう。
そして昨年、元会長の米沢さんに聞いていたのだが、総会の開催日が決まると元会長たちに連絡し、総会と歓送迎会にご招待しなければならなかったらしいが、何度も言うがそんな決まりはどこにもないので当然米沢さんにも連絡しなかった。
もしクレームでも来たら、「そんな決まりはありませんが? それって義務ですか?」と言う気満々だったが、どこからも何もなかったので拍子抜けをした。
ところで問題児? の下条さんだが、意外や意外、歓送迎会に参加せずに帰ってしまったらしい。
「どうしたんやろう...」
「総会で恥かいたから帰ったんやろか...」
役員達はそう口々に言い、電話をかけてみようかと言いだした。
「いや、別にどうしてもいてもらわなきゃなんないこともないですし、自由参加ですから」と私が言うと、「そりゃそうやわ」と皆納得した。
下条さんがいたらいたで迷惑がるのに、なぜいないことを心配するのか??
宴たけなわとなった頃、坂田先生から校長が帰ると耳打ちされた。
慌てて新本部たちに声をかけ、店の外まで校長と事務長をお見送りに出た。
「今日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」
「会長はん! これからよろしく頼んますわな!」
「はい! こちらこそ!」
女の会長なんて格好が付かんと言ってたくせに(笑)
「そしたら会長はん、後のことはよろしゅう頼んますわな!」
校長はそう言い残して事務長と帰って行った。
私は瞬時に黒木さんの顔を見た。
「後の事は??」
「.........」
「後のことってなに??」
「多分...、二次会のことやと思う...」
「二次会を頼んますってなに? あぁ! みんなで二次会に行くからそれを頼むでってこと?」
黒木さんは言いづらそうに言った。
「二次会は先生たちみんなタダやねん」
「はぁ!? えっ? それってなんで? 私ら去年二次会のカラオケ代払ったやんな?」
「うん、私らは払うけど、先生たちはタダで連れていくねん」
「タダでって? どこからお金出んの!?」
「総会費と親睦会費から...」
「それって去年も出たん??」
「うん...、だから校長は『この後頼むで』って...」
驚きすぎて開いた口がふさがらなかった。
去年の総会後の二次会に参加した教職員はざっと20名ほどいて、確か三次会のスナックにも10名ほどの教職員がいた。
今のようにカラオケがドリンクバー付きで1500円ほどで済む時代ではなく、それも土曜の夜だからお安くない。
「あれ先生たちは全部PTAのおごりやったん?」
黒木さんはうなずいた。
「総会費は総会に使う金やで? これ総会ちゃうやん。飲み会やん。親睦会費も1名1000円って決まってるやん。二次会、三次会は自腹やろ!?」
暫し腕組みをして考えた。
「わかった」
そう言って皆の背中を押して席に戻った。
考えてみれば、二次会三次会と夜中日付が変わるまでぞろぞろと教職員が何人も一緒について来てるなと思ったが、タダで飲めるからだったのか。
そりゃあ酒好きの先生たちにすれば最後まで付き合うよなぁ。
席に戻ってしばらくするとお開きの時間になった。
閉めの挨拶をした後に先にみんなに店を出てもらい、黒木さんは清算で、私たち本部役員で忘れ物がないかテーブルの下までチェックをした。
私が最後に店から出るといくらかは帰ったようだったが、店の前に教職員がゾロゾロと大勢残っていた。
皆、二次会、三次会に行く気満々な顔つきだった。
店の玄関が数段の階段になっているので、さながら私がみんなを見下ろす位置になった。
大きく息を吸った。
「本日は皆様遅くまでありがとうございました。 今後ともPTA活動にご理解とご協力をよろしくお願いします。 では皆様お気を付けてお帰りくださいませ! 解散!!!」
私は両手を大きく上に向けて広げて言い、教職員が唖然としている中を黒木さん達と一緒に駅に向かった。
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