アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの副会長に任命された時のお話です。
【前回】【PTAの悪しき風習】ほとんどの人が食べていないお茶菓子代が五千円!? ザルすぎ会計にメス
PTAの定例会で明らかになったザル会計すぎるお茶菓子代問題。
お金の事はなかなか細かく言いにくいのが日本人的なのか、さりとてPTA会費は公金なので、ザル会計では困るのだ。
同じ学年の2年の会計黒木さんに聞くと、前年の1年の時からおかしいとずっと思ってきたものの、3年の会計がすんなりと領収書を受け取って処理してしまうので言えなかったという。
PTA総会時に決算報告というのがあるのは皆さんご存じでしょうが、その際に詳細までは詳しく書かれていない。
支出がいくらあったかと書いてあるだけで、いったい何に使ったかまでは書かれていない。
質疑応答で質問をすれば答えてくれる場合もあるが、皆さん少しでも早く帰りたいので細かい部分を指摘する保護者を迷惑だと思う人も多い。
ましてやお金の事だからなおさら言いにくい。
PTA会員は会計帳簿の閲覧を要求する事が出来るのだが、「帳簿を確認させてください」とまで言う保護者はほぼいない。
『誰も指摘しない』のを良い事に、何に使われているのかわからない場合もあるのだ。
この件があってからというもの、行事ごとに使った領収書は全てレシートが提出されるようになり、今までの様に端数の無いきっちりとした金額になる事は無くなった。
更に、毎回5000円前後購入していた《お茶菓子代》が、平均して2000円もしなくなったのだ。
意地悪な見方をすれば、自分達だけで分けて持って帰れなくなったので、安いお菓子しか買わないようになったんだろうなぁと思ってしまう。
そして各委員会の集まりにも出来るだけ顔を出すようにしたら、やはり各委員会の中でも『3年が好き勝手』というのが見え隠れした。
当時はすでに私が会長代行として、PTAとして出席しなくてはならない生徒や教職員関係の通夜・葬儀・告別式などの全てに出席していて、学校も会長ではなく私に直接連絡をして来るようになっていた。
ご不幸の連絡が学校からあると、通夜・告別式の両日出席しなくてはならない。
その数は生徒数が多かったせいか毎月のようにあり、多いと3件・4件とあった。
定例会もイベント事も、仕事が忙しくなったからと会長の欠席が続き、実質私が会長代行として全てを取り仕切るようになっていた。
そもそも元々「2年・1年は何も言ってこない」を前提としての「3年の好き勝手」だったので、突っ込まれるとは思っていないから脇が甘い。
3年の委員長たちにちょっと突っ込んだら、即座にだんまりで誰も答えられない。
毎度いちいち指摘していたら、呆れた事に「そんな正論ばっかりで済む事じゃないんです!」と言い返して来る3年の委員もいたが、
「『正論』とは『道理にかなった正しい意見や議論』という意味ですが、それ以外があるんでしたらおっしゃってください。私たちは人を育てている親ですから、間違った事を平気でするのはいかがなものかと思いますよ」
と言うと黙った。
あなたたちがやってる事を子どもたちに見せられますか? って話だ。
そして、元会長の米沢さんは全く出て来なくなった。
米沢さんが出て来なくなってからというもの、川上さんたちからの抵抗が無くなりとてもやりやすくなった。
2年や1年からは意見が言いやすくなったのか、役員会でも活発な議論が増えた。
もちろん毎回3年たちにもご意見をうかがうが、後ろ盾が無くなったせいかおとなしくなった。
『元会長』なんて発言権も無ければ議決権も無く、そもそも役員会への出席など聞いた事が無い。
私は最初に副会長でと言われた時にとんでもないと思ったが、今となっては副会長であったからこそ、また会長が全く頼りなかったからこそ、副会長と言う会長代行のポジションが幸いした。
これが単なる委員だったら、なにを発言しても潰されていただろう。
私を学校側が送り込んだスパイだと思っていた2年・1年の役員達も、今やとても協力的でサポートしてくれる。
第一、頼りない会長が全面的に私を支持してくれた事が助かった。
無理にでも役員会に出て来いだの、毎度毎度会長が動かなければならない事にならなかったので、むしろ会長に感謝されたくらいだった。
その都度会長には報告・連絡・相談はしていたが、その度に「任せるわ」だったので私は着々と実績を積み上げて行く事が出来た。
ある日の事、定例会の帰りに2年・1年の役員達からお茶に誘われた。
毎回皆さんが帰りに誰となくお茶をしに行っていたのは知っていたが、私は車だったので断っていたのだ。
「かづさん、一つ聞いていい?」
「なんでも聞いて♪」
黒木さんとは最近では、プライベートな内容までメールや電話で話すようになった。
「3年生や米沢さんに何を言われても瞬時に言い返せるのって、あれってあらかじめ用意してるん?」
他の皆さんもうんうんと頷いている。
「あらかじめ用意してるっていうか、私、相手が喋っているのを聞きながら突っ込みポイントをピックアップして頭の中でシミュレーションしてるんよ」
「ええっ!!」
「この点についてこう突っ込んだら、私やったらこう返す。そしたら次にこう突っ込んで、この点を追及する。もしこう返ってきたら、ここを突く」
「それを瞬時に!?」
「私、口喧嘩で負けた事無いねん(笑)」
別に自慢するような事ではないが、皆が大笑いしてくれて良き良き。
「も一つ聞いていい? 3年や米沢さんを怖いと思った事無いん?」
またもや皆さんがうんうんと頷く。
「そもそもなんで怖いん? なにか権利があるって訳でもなく、単に学年が上ってだけやろ? それもなにか教えてくれて勉強になる訳でもなく、代わりになにかをやってくれて私らを助けてくれてる訳でもなく。尊敬できる訳でもなく、見習いたい訳でもなく。米沢さんなんて、そもそも役員会に出席できる権利が規約にも無いやん? 勝手に出て来てる訳やん? むしろ今までよく誰も突っ込まんかったなって話やん。」
「そりゃそうやけど、それでもなんか怖いやん」
「よう考えてみてよ。あの人ら、後数カ月後にはおらんようになんねんで?」
「あっ! ほんまや...」
「これから何十年も顔合わせるご近所さんやとか、旦那の会社の上司の奥さんやとかやったら別やけど、そんなしがらみもなんも無い人らなんやで? 殴りかかられる訳でもないし、あの人らに借金してる訳でもないんやから、怖がる必要が無いやん。私らが怖がってるって、向こうが思ってるだけやろ?」
「いや、ほんまやわ!」
皆さんの顔がパッと晴れたように見えた。
そして年が明け、卒業式も過ぎた頃に次年度の会長選出の日が迫っていた。
選出委員は3年達だった。
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