アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
【前回】「かづさんて学校側のスパイなの?」途中加入したPTAに流れていたとんでもないウワサ
2年・1年のPTA役員だけで集まった秘密会議で、皆が私の事を学校側が差し向けたスパイだと思っていたことが発覚。
学校側が私を使ってPTAを思うがままに動かすもくろみだろうと3年の役員達に思われていたらしく、それを聞いた2年・1年の役員達も私に警戒心を持っていたらしい。
秘密会議でそれが全て払拭されたとは思いはしないが、後は私の行いで評価して頂くしかない。
とりあえず次の定例会で、それぞれ各専門委員会に本部から担当を1名ないし2名付ける事を考えていると話した。
どうせ各行事には本部も参加なんだから、担当になったからとて仕事が大量に増えるわけではない。
当日に参加するだけの本部と担当の本部とじゃあ、委員会の中での重みが違う。
今まで3年にあごでこき使われてきたらしい2年・1年達には、たいそう喜んでもらえたポイントだった。
遠方から通学する生徒も多い私立校だったので、基本的にPTAが参加する行事自体は少ない。
個人的には行事が少ないからこそ丁寧な内容が必要だと思っていて、中途半端でもいい加減でもやってるだけマシだろうという考えは人として親としてどうなんだと思うタイプだ。
子どもの手本になるのが親だと思う主義なので、反面教師的な親なんて子どもが気の毒過ぎる。
幸い各専門委員会担当になる事に本部の皆さん(この時点では2年・1年)が賛成してくれたので、次の定例会で提案して賛否を取る事とした。
ま、多数決で可決するのは分かり切ってはいるのだが。
本部役員にも3年が2名いるが、数で言えば3年全員が反対しても可決するというわけだ。
そして待ちに待った定例会。
いつもの様に、誰からも呼ばれていないのに出席している米沢さんに笑顔で挨拶をして席に着く。
前日に会長の清水さんに秘密会議の詳細を説明した際に、「一人で勝手に進めたらあかんで」と言われたが、「何についても必ず多数決で決めますから」と言ったら安心していた。
民主主義で賛否を取るのは基本ですものね。ふふふ。
さて、定刻になり定例会を開始するも、相変わらず挙手をするわけでもなく勝手に喋りだす3年。
せっかく書記が作ってくれたレジュメがあるのに、全くそれに沿う事もせずに自分達だけで決めようとする。
「あの、すみません。すみません! すみませーーん! 静かにしていただけますかー!」
やっと黙った。
「では皆様のお手元にお配りさせて頂いていますレジュメの通りに進めさせていただきます。 各委員会からお願いします」
別に特別な事をしているわけではなく、通常この流れになるのが当然なのだ。
3年のボス川上さんがこちらを睨みつけているのが分かったが、そんなのに構っちゃいられない。
各委員会からの報告が進むが、ちょっとの事で3年の雑談が始まる。
そのたびに「先にご報告をお願いします。ご意見はその後に挙手でお願いします」と言うとムッとされるが気にしない。
って言うか、笑いをこらえるのが大変だ。
「ご意見のある方」と促すと今度は逆に手が挙がらない。
雑談ならペラペラ喋りだすくせに、「ご意見」となると言う事は無いらしい。
一通り報告が終わったので例の提案をする事にした。
「私からですが、各専門委員会に本部から担当を1名ないし2名付く事を提案します」
当然ざわついたのは3年だ。
「どうしてですか!」
3年ボスの川上さんが即座に反応した。
「現在では本部が定例会で初めて聞く事が多く、その際にご質問やお願いをされても『では学校側に確認してお返事します』とすると、定例会が毎週あるわけではないのでお返事するのに時間がかかります。
ですので、あらかじめ各委員会での動きや問題などを本部が把握する事で、迅速に進める事が出来ると思います。
せっかく皆さん遠くから来て頂いていますから、報告・連絡・相談が速やかに伝わる事で集まる回数が少なくなります。そのための担当です」
小中のPTAしか経験が無いが、ザックリ言うととにかく必要な事は後回しで無駄が多いのだ。
中身の割には『何回集まってんだよ』という状況。
大事なのは活動回数ではなく、中身だ。
「本部の皆さんはよろしいでしょうか?」
皆が頷く。
川上さんが何か言いたげだったので、採決を取った。
3年以外は全員が手を挙げ、意外にも会長も手を挙げてくれた。
「賛成多数で決定とさせていただきます」
「ぼ、僕は...?」
会長が不安気に私を見た。
「会長に担当はありません」
「良かったぁ~」
「だって、会長は総括ですから、何かあった時には全て会長が総責任者ですもん」
「えぇ...。でもほんまにお願いしますわな」
本部の3年2名の内、1名は会長で後1名は監査だった。
「監査が必要な日だけ来たらいいと言うから引き受けた」という方で、この日も欠席だったが私と組めばいいと思った。
「ちょっと待って!!」
そこまで黙っていた米沢さんが声を上げた。
「それは強引やないの? 今急に提案して採決して決定やなんて、突然すぎるわ!」
川上さんはじめ3年達がウンウンと頷いている。
「そうですか? 今までの数回の定例会でも、何も聞かされていない、ここで初めて聞く事を3年生だけがワチャワチャと喋って採決も取らずに決定して進めてましたけど、それは良かったのにですか?」
これにはさすがの米沢さんも反論出来なかったのか、黙ってしまった。
予想外に米沢さんが黙ってしまったのを見て、3年からも発言が無い。
この『3年が好き勝手する』というのは、要は2年・1年が3年に何も言えない事をいいようにしているからであり、3年に物言える立場を作ればいいのだ。
「各委員長さんは担当になった本部さんと連絡を密にしてくださいね。 何かあれば私に連絡してください。私が対応します。一番近い行事は地域清掃でしたよね。行事委員さんには当日に集合して頂くだけで、今日お帰りになる前に行事委員長さんは担当本部さんと一緒に先生方と用具の確認をお願いします。もちろん私もご一緒します」
「は、はい...」
行事委員長(3年)が慌てるように返事をした。
行事委員会と称して、掃除用具の確認程度で数日後に集まる予定だったのを耳にしていたのだ。
この流れを書記には議事録に残しておくようにお願いした。
全てはせっかく引き受けてくださっている委員さん達の、そして来年の為に。
帰りに職員室に戻っていた坂田先生の所に寄った。
「あんたらしいわ。ま、あんまり飛ばし過ぎたらあかんで」
坂田先生は笑っていた。
「私、学校側のスパイやっていう噂らしいですよ(笑)」
「えぇー!!」
楽しくなってきた。
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