叔母が残した遺産7000万円をめぐり、従兄と最高裁まで争った7年間

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ペンネーム:ミナミ
性別:女
年齢:56
プロフィール:父の妹の叔母は、7年前79歳で7,000万円位の遺産を残し他界しました。その遺産を巡り従兄と裁判で争う事に。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

叔母は、アルツハイマー型認知症の診断で5年間施設に入所し、その間、私と伯父の長男である従兄(76歳)が面倒をみていました。施設は、私の自宅から40㎞位離れていたので、母と私は年10~20回位訪問していたものの、施設の支払いや生活に必要な物を揃えるなどは、近くに住む従兄が叔母の一部の通帳を預かり行っていました。

叔母は、結婚経験がなく、私の祖父母、伯父と父が亡くなってからは、身内と言えば、甥と姪(私と兄、姉の3人と伯父の6人の子)しかいません。叔母は、貯金が趣味みたいなもので、7000万円近くの貯蓄を残し他界しました。それを私達9人の甥と姪が相続する事で話し合いになったのです。

私と兄、姉は法的(父方と伯父方で等分した額を、それぞれの子の人数で分配)に分配する事を提案。その代わり、生前、叔母の通帳から使われた明細は問わない、残金(200万円位)は従兄に渡すつもりでした。しかし、従兄は、9人で均等に分配する事を強く提案してきました。

話し合いも並行のまま1年半が立ち、解決のため調停に申し立てました。それをきっかけに叔母のすべての通帳の詳細をそれぞれの銀行から取り寄せると、その中に私が知りえない1つの通帳の存在がありました。それには、叔母の生前に100万円程のお金が保険会社から入金され、叔母の死後すぐに従兄がすべて出金していました。それは、年金保険(700万円位)が満期になった一部だったのです。残金の約600万円位は、死亡受取人の従兄が受け取っていました。叔母の生前の約100万円位は、私達も相続の権利がある事を訴えると、調停委員は、ここは話し合いの場で、争う場所ではないと調停は決別し、私達兄姉3人は、弁護士を立て従兄を相手に裁判にする事にしました。

勝訴のために弁護士と証拠集めに必死になりました。まず、不問にしようと思っていた叔母の生前の通帳から使われた詳細を請求。すると、高級な洋服や下着などの領収書が沢山、従兄はすべて叔母のために使ったと言い切るものの、施設を来訪した時にそのような高級な洋服や下着を目にした事は一度もありません。また、洋服を買ったとされるお店に電話するとバッグ専門店。叔母の亡くなった時にお寺にお布施とされた金額は30万円のはずが、お寺に問い合わせると実際は3万円。更に年金保険の受取人指定の書類は、叔母の自筆ではなく、亡くなる半年前に従兄の妻が書いて保険会社に提出したものでした。

裁判の争点は、遺産は法的分配、叔母のために使われたと思えない金額の返金、そして勝手に受取人を書いて受け取った年金保険の返金でした。相手方は、遺産の法的分配は了承したものの、年金保険の受け取りは、叔母が了承し、代わりに妻が受取人を書いたのだと言い張ります。それを覆すために、叔母が認知症で何の判断もできない事の証明に弁護士から病院の診断書や施設での記録書を請求してもらいました。その甲斐もあり、裁判はすべて私達の言い分を認めてもらう結果になりました。しかし、その判決が不服として相手方が控訴し最高裁へ。いよいよ判決と言う直前、従兄が突然死亡したと私の弁護士から連絡を受けました。結局、最高裁の判決も私達の勝訴で、翻弄された長い7年間に幕を閉じました。

叔母が亡くなって戦い続けた7年間、従兄が無駄遣いした事や嘘の言い訳に腹を立てたり、傷つけられたり辛い思いも沢山しました。もし、話し合いの時点で、私達の提案を了承してくれていたら、お互い高い弁護士費用を支払う事無く、お互い平和に遺産相続ができたことでしょう。叔母の生前、従兄の反対を押し切ってでも、もっといい施設に入所させ、叔母のために使ってあげるべきだったと後悔するばかりです。

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