<この体験記を書いた人>
ペンネーム:gaspal
性別:女性
年齢:42
プロフィール:私42歳、夫53歳、小学5年息子の3人暮らし。兼業主婦です。
2020年5月のことです。
当時、息子は小学3年生でした。
この年は、全国の小学校などがコロナのまん延防止措置の一環として、4~5月の2カ月間が休校となり、外出も制限されました。
我が家は共働きで、祖父母や頼れる親族も近くにいません。
毎日息子を朝から夜まで一人で留守番させるのは、食事や防犯面から心配です。
息子も「朝から夜まで、一人で留守番は怖い」と不安がったので、どうしたらいいのか困り果てていました。
夫と相談して、私か夫のどちらかは「在宅で仕事」か「有給または特別休暇」を利用して、息子が一人で留守番しなくてすむようなんとかやりくりしていました。
しかし、5月初めのことです。
同じマンションに住む体に障がいのある70代男性(Aさん)が、事情により突然引っ越すことになりました。
Aさんは数年前に脳梗塞で倒れて半身麻痺となり、それにより仕事も辞めざるを得なくなり、しかも一人暮らしです。
Aさんは、コロナ禍での引っ越し準備や膨大な不用品の処分で途方に暮れていました。
当時、コロナのせいで家にいる時間が増えたせいか断捨離する方が多く、処理場も忙しいのか、なかなか担当部署に電話がつながりませんでした。
そこでAさんの引っ越しを知った我が家は、次のように考えました。
「息子も休校中で外出もできずストレスが溜まっている」
「私も息子が一日中家の中にいて、始まったばかりの在宅仕事に集中できない」
「Aさんも引っ越し準備が進まず、しかも基礎疾患もあるから外出は避けたい」
これらを解決しながら、Aさんの引っ越し準備を手伝おうと思ったのです。
平日、息子は学校の時間割どおりに自分で科目ごとに宿題や自主勉強をして、それが終わって「放課後」の時間になったらAさんのご自宅に行きました。
そして、Aさんと一緒に読書をしたり、息子もAさんも大好きな野球や生き物の話をしたりして毎日しました。
Aさんと息子を含めた我が家とは、それまではあいさつ程度だったのですが、Aさんと息子は大好きな動物、野球、プラモデルの話などで、年齢は離れていても趣味が合ってすぐに意気投合。
2人は「友だち」になりました。
私も息子がAさんのご自宅にいる間に、夕ご飯の準備や在宅仕事とメリハリをつけ、多めに作ったおかずを差し入れしました。
土日は私や夫が可能な範囲でAさんの自宅の荷造り、膨大な不用品の処分をしました。
息子も感染予防に気をつけながら、Aさんと「おじいちゃんと孫」のように仲良くしていました。
また、Aさんの引っ越しを知った同じマンションの他の方も荷造りなどを手伝い、近頃では珍しい「近所の人が協力する引っ越し」が行われたのです。
しばらくして、Aさんは新幹線でないと行けない遠方に無事に引っ越していきました。
Aさんは切手のコレクターで、手紙を書くのも好き。
息子も令和時代の小学生には珍しく、手紙を書くのが大好きです。
Aさんの引っ越しから2年以上たった今も、数カ月に一度は息子とAさんは手紙をやり取りする、今どき珍しい「文通友だち」です。
きっかけが「コロナによる休校」と「Aさんの引っ越し」というのは少し複雑な気もします。
しかし、先日もAさんから「〇〇くん(息子)はどんな夏休みですか? 2学期の勉強も頑張ってね」と、手紙と一緒に文房具などが届きました。
Aさんの手紙を読み、うれしそうに返事を書く息子を見ていると、「令和時代の年の離れた文通友だちもいいね」と微笑ましくなります。
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