<この体験記を書いた人>
ペンネーム:やまと
性別:女
年齢:41
プロフィール:夫と二人暮らしの主婦です。
約10年前、友人宅に行った帰りの夜遅くに駅前を歩いていたら、20代前半くらいの美容師の男性に「明日の夜カットモデルになってくれませんか?」と声をかけられました。
髪型には特にこだわりはありませんでしたし、若い美容師さんの役に立てればいいなと思いましたが、次の日の夜は仕事があって行けません。
私が断っても美容師さんは「お姉さんお願いしますよ〜」と食い下がります。
仕事の都合でどうしても行けないことを伝え、最後に何気なく「がんばってください」と言ったんです。
すると美容師さんは急に表情を変えて舌打ちをしました。
「心のない『がんばって』が一番ムカつきます!」
そう吐き捨てるように言って足早に去って行きました。
残された私は呆然。
自分から声をかけておいて、舌打ちして「ムカつく」だなんて...。
軽い気持ちで言ってしまった「がんばって」が気に障ったかもしれないけれど、出会って1分もたっていない初対面の人に言うことじゃないだろう!
家に帰ってからも、お店にクレームを入れようか、でもお店の名前は覚えてないし...とモヤモヤしていました。
それから数日後、以前美容師をしていた同世代の女友だちと会う機会があったのでこの日のことを話してみました。
「その美容師さんひどいね! でも相当追い詰められてたんだと思う。私も美容師時代は本当に大変だったな...」
彼女によると、当時の美容院での仕事は相当過酷だったとのことです。
朝は開店前から掃除や準備、一日中立ち仕事をしてやっと営業が終わっても、夜遅くまで練習があります。
終電で帰れないこともあるため自転車通勤の場合が多いのですが、美容院があるのはだいたい都心。
そこから自転車で通えるところに部屋を借りるとなると、家賃もばかになりません。
彼女が自転車通勤していた頃、帰宅途中にどうしても疲れてしまい、公園のベンチで一休みしていたら、そのまま朝まで爆睡してしまったこともあったそうです。
常に寝不足な上、週1日の休みもカットモデル探しや仕事で着る服の買い物をしなければならず、ゆっくり休めないとのことです。
さらに男性美容師の場合、街で声をかけても警戒される場合が多く、カットモデル探しが難しいようです。
私の世代は、美容師が対決するテレビ番組が流行り「カリスマ美容師」がもてはやされた時代。
美容師は華やかな職業の象徴でした。
「華やかさの裏でそんな苦労があるなんて...」
初対面の人に暴言を吐いてしまうまでに追い詰められていたのかもしれない美容師さん。
あの日のことをかわいそうに思ってしまいました。
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