<この体験記を書いた人>
ペンネーム:トリコ
性別:女
年齢:48
プロフィール:自営業の夫と大学生の息子がいる48歳の兼業主婦。仕事と家事に追われる日々です。
うちの夫(51歳)は近所でも評判の「優しそうなご主人」です。
しかし、優しそうなのは見た目だけで中身は全く伴っていません。
つい先日も、こんな会話がありました。
「私だって仕事をしていて忙しいのだから、洗濯物を取り込むとか少しは家事を手伝ってほしい」
「おまえが俺と同じくらい稼げたら手伝うよ」
主婦に対して言ってはならない、えげつない言葉で断ってきました。
パート勤めの私が夫と同等に稼ぐのは無理な話。
夫もそれを分かって言っているので余計にタチが悪いです。
思い返せば結婚当初から、夫には暴言や失言を言われてきました。
結婚して3年目、初めての出産を迎えた2000年冬のこと。
臨月に入っても逆子が治らなかった私(当時27歳)は近所のクリニックから総合病院へ転院し、そこで帝王切開を受けることになりました。
手術は局所麻酔を使って行われるのですが、お腹を切った後はしばらくトイレへも行けなくなるため、手術の前に尿道へ管を通し、その管から尿を体の外へ出す処置が必要でした。
それまで病気やケガと無縁だった私は、その処置だけですでに心が折れてしまい、赤ちゃんに会える喜びも忘れ、ベッドにぐったり横たわっていました。
そこへ仕事を切り上げた夫(当時29歳)が見舞いにやってきました。
父親になる自覚にはいまひとつ欠けていましたが、ここぞというときに頼りになるのは、やはり夫の存在でした。
生まれてくる子どもの名前や将来について夫婦で語り合っているうちに、私の緊張もしだいにほぐれていきました。
ふと会話が途切れたときです。
夫が突然「うわっ、ばっちぃ」と言ってその場から飛びのきました。
何ごとかと思ったら、夫の視線の先には尿道の管に繋がった畜尿パックがありました。
そして、パックの中にはいつの間にか、琥珀色の液体が溜まっていたのです。
確かに汚いものですが、これから初めての出産を帝王切開で迎える妻に向かって「ばっちぃ」とはデリカシーがなさすぎやしないかと、ずいぶんショックを受けました。
手術前で緊張状態にあった私は、興奮して泣きじゃくりました。
そして、術後はしばらく起き上がれないこと、トイレにも行けないから我慢して管を通していること、初めての経験ばかりで不安なことなどを涙ながらに訴えました。
尋常ではない私の怒りにふれて、夫もさすがに悪いと思ったようです。
「俺も出産や帝王切開のことはよくわからなくて悪かったよ...」
悪気なく言葉を発することはあるものの、根は優しい人なのだ。
あの頃はそう思っていました。
いよいよ手術が始まる間際、いくぶん落ち着きを取り戻した私に、夫が本屋の紙袋を差し出しました。
命名辞典か何かだろうか。
そう思って中を開けると、出てきたのは『0歳からの英才教育』とタイトルのついた育児雑誌でした。
「俺、ホントに出産や育児のことは分からないからさ、これを読んで退院するまでに勉強しておいて」
おいおい、おまえは勉強しなくていいのか!? 育児に協力する気はさらさらないのか!?
他人ごとのように話す夫に呆れてしまい、私の心の声が言葉になることはありませんでした。
あれから20年以上の歳月が流れ、帝王切開で生まれた息子は成人式を終え、親の助けなど要らないくらい頼もしく成長しています。
そろそろデリカシーのない夫を捨てようかな。
そう考える今日この頃です。
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