<この体験記を書いた人>
ペンネーム:トリコ
性別:女
年齢:48
プロフィール:自営業の夫と大学生の息子がいる48歳の兼業主婦。仕事に家事に、家族の世話にと多忙な日々です。
とある食品メーカーのラウンダー(スーパーなどを定期的に巡回し、自社商品の売上が伸びるようディスプレイを工夫したりする人)として働いていた2015年頃の話です。
私(当時42歳)がよく巡回をしていたスーパーに、勤続30年のベテラン男性店長(当時52歳)が配属されました。
それまで在籍していた店長は気難しく、何かと気を遣っていましたが、新しい店長は業者の私にも気さくに声をかけ、売り場づくりにも協力してくださる良い方でした。
そのおかげか売上も順調に伸び、私も充実した日々を送っていました。
新店長に代わって半年が過ぎた頃、倉庫の片隅で伝票の整理をしていると「おはよう」という挨拶とともに店長が入ってきました。
そして、通りすがりに軽く脇腹をつつかれた気がしました。
まさかわざとではと思いつつ、狭い倉庫内のことだから偶然手が当たっただけだと自分に言い聞かせました。
それから数日後、商品を取りにバックヤードへ入ったときです。
今度はすれ違いざまに「意外とお肉がついてるね」と脇腹をつままれたのです。
そのときはとっさのことに何も反応ができず、後から何か言ってやればよかったと悔しさがこみ上げてきました。
その後も仕事の合間に「がんばってるね」と背中を叩かれたり、「寒いから温めてあげようか」と不快なことを言われたりするようになりました。
店長の言動は明らかにセクハラでした。
上司に相談しようと考える一方で、下手に波風を立てれば仕事がやりにくくなるかもしれないという危惧もありました。
それに40歳を過ぎたおばさんがセクハラと騒ぐのも自意識過剰と思われそうで気が引けてしまったのです。
現に、以前の職場でアラフォー女性が上司のセクハラを訴えた際、同僚から「大げさだ」と陰口を叩かれていました。
結局、誰にも言えないまま1年近くやり過ごしました。
私が声をあげないのをいいことにセクハラは次第にエスカレートしていきました。
顔を合わせるたびに「飲みに行こうよ」と誘われたり、「今日も一日頑張れるように握手しよう」と両手で右手を握りしめられたり...。
右手を握られたときはさすがにゾッとして「家に帰って奥さんとやってくださいね!」と店長の手を振り払いました。
すると明らかに不機嫌な表情に変わり、次に会ったときには挨拶をしてもプイっと顔をそむけられてしまいました。
やはり上司に相談しようと考えていた矢先、ついに恐れていたことが...。
その日は店に入ってからずっと店長のじっとりとした視線を感じていました。
不快な気持ちを抑えつつ倉庫で在庫確認をしていると、背後で人の気配がしました。
振り向くとそこには両腕を広げた店長が...そして唐突にひと言。
「俺と一度、ホテルに行っとこうか」
ついに我慢の限界に達した私は車に忘れ物を取りに行くふりをして即、会社へ電話しました。
30代半ばの男性上司は思いのほか親身に話を聞いてくれました。
ただ、店長やスーパー側に直接苦情を言ってくれるわけではなく「あの店長は影響力が強いからね...」と言葉を濁すだけ。
結局、私が担当エリアを変わることでセクハラは間接的に解決しました。
問題の店長が戒告処分になったと噂が流れたのは、その数カ月後。
私の後任を務めていた20代女性が店長からのセクハラ行為を上司に相談し、怒った上司がスーパーの上層部に訴えたとか。
従業員の相次ぐセクハラ被害にうちの会社も事の重大さを認識して対処したのでしょう。
しかし、うがった見方をすれば、40代女性の被害はうやむやにするくせに、若い女性の被害には即対応するとも受け取れました。
その後ラウンダーは辞めましたが、あの頃のことを思い出すと今も釈然としない気持ちになります。
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