誰もいないのに開くドア。訪問先で亡くなった家族の正体を知って絶句した介護士時代の不思議体験

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ラズベリージャム
性別:女
年齢:52
プロフィール:猫をこよなく愛するアラフィフ主婦です。新しいことが大好き。日々挑戦しています。

誰もいないのに開くドア。訪問先で亡くなった家族の正体を知って絶句した介護士時代の不思議体験 38.jpg

私が介護士をしていた5年ほど前のお話です。

私はパワーストーンが好きなのですが、8年ほど通っているお気に入りのお店がありました。

夫婦経営の小さなお店で、店頭にはいつも奥さんだけ。

しかし、ある日のこと、そのお店に行くと、初めて見る女性がレジにいます。

奥さんに尋ねると、新しく雇ったスタッフとのことでしたが、何となく気になる感じの方でした。

商品を購入すると、毎回水晶のベルで浄化してもらうのですが、その日はその女性の店員さんがベルを鳴らしてくれました。

ですが、ベルを鳴らすと「ガスッ」と変な音がします。

いつもと違う音に気味が悪くなった私は、奥さんに再度浄化をお願いしました。

すると今度は「ちーん」と澄んだ音がしました。

奥さんに後からその話をすると「あの子、幸薄いのよね」と。

なんだかなあ、と思い店を後にしました。

そんな記憶が薄れた3カ月後、私の勤めていた職場に支援の依頼が入りました。

児童相談所からです。

「母親が先月亡くなったご家庭を助けてほしい。父子家庭で9歳のお子さんがいるのだが、50代父親がうつになってしまい援助が必要である」

とのことで最初は私ではなく他の介護士が担当でしたが、急遽担当が変更になり、私が行くことになりました。

すぐに食事援助や生活援助などが始まりました。

ですが、しばらく通っているうちに、違和感を覚えるようになったのです。

それは、その家に行くと、誰かがいる気配がすること。

そして、閉まっているはずの2階のトイレのドアが必ず開くのです。

しかも、それが起こるのは私が訪問したときだけ...。

閉めてあるのを確認した後にも開くので、不思議に感じながら仕事をしていました。

そんなある日、ふと家の中を見回すと、見覚えのあるパワーストーンがたくさんあることに気が付きました。

そして、あの店員さんのことが頭をよぎったのです。

「いやいやまさかねえ」と思いながら、その家の娘さんに「ねえ、お母さんって○○ってお店に通ってた?」と聞いてみました。

これが当たりでした。

このお家は、あのお店でたった一度だけ会った女性のお宅だったのです。

「やっぱり」という思いと「ええ?」という思いがぐるぐると頭をめぐりました。

驚いた私は、さっそくお店のご夫妻の所へ行きました。

「実は依頼があって、以前会った店員さんの家にいくことになったのだけど、彼女は亡くなったの?」

「あの後すぐに病気になって亡くなったの。担当が急遽あなたになったって、きっと彼女があなたを呼んだんでしょうね」

「え? なんで私だったの? 私は一度しか会っていないのに?」と戸惑いました。

生前の彼女に会った偶然、そして私と会った直後に脳腫瘍になり3カ月で命を落とした彼女...。

怖くなった私は、彼女の家に入るとき、毎回「私の前に姿を現したら、私は即刻この仕事を打ち切ります」と心の中で彼女に伝えました。

それでも毎回トイレのドアは開きましたが、支援が終わるまで彼女の霊を見ることはありませんでした。

支援を続けて一年後、婚活を始めたという旦那さんにある相談をされました。

「見合い相手の家に亡くなった嫁が来たっていうんだけどどう思う?」

ええ!? と一瞬パニックになりつつも、思わず話してしまいました。

「だって彼女この家にいますよ。結婚には反対ってことかな?」

冷静を装い伝えた私に、旦那さんは言いました。

「そうだよね。相手の方も『前の嫁が反対するからやめます』って言ってきた」

現在、旦那さんは無事に再婚して幸せに暮らしています。

今度のお嫁さんは猫を8匹連れてきたのだそうです。

猫は魔除けといいますからね、お嫁に来た女性も霊感のある方とのことです。

今は、トイレの戸が開いたのは、彼女なりの「家にいるよ」という主張だったのかなと思っています。

不思議な体験をしたなと、しみじみと思うのでした。

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