<この体験記を書いた人>
ペンネーム:にな
性別:女
年齢:45
プロフィール:たまに将来を不安に思ったりしている独身フリーランスです。妹と2人暮らし。
これは6年前、友人とファミレスで食事をしていた際に経験した、ちょっと怖い出来事です。
この日は私(当時39)と友人A子(当時42)の2人で、A子の運転する車でファミレスにやってきました。
店員さんに案内されて席に着くと、A子が「なんか落ち着かない...」といって自分の身体をさすり始めました。
それから5分ほどのうちに、私たちのテーブルの上のランプがチカチカと点滅し始めたのです。
「ほら、やっぱり何か嫌な感じがする...」
昔から自分のことを霊感が強いと話しているA子が本当に不安そうな顔で言います。
私はただ、自分たちのテーブルのランプがちょうど運悪く調子悪くなっただけでしょ、くらいにしか思わなかったのですが、A子は本当に気分が悪そうでした。
「じゃあ店員さんに言って席を変えてもらう?」
そう聞きましたがA子は、いったんはこのままで大丈夫だというので、私たちはそのままテーブルを変えず食事をしました。
テーブルの上のランプの点滅は悪化する一方で、食事が終わる頃にはさすがに点滅が気になってイライラするほどでした。
私は、食事が一段落したところでトイレに行きました。
女子トイレに入ると、ちょっと二度見してしまうほどの、失礼ながらとても外出するような恰好とは思えない20代半ばくらいの女性が先にいました。
髪はボサボサ、顔はすっぴんで肌もボロボロ、学生のジャージみたいな上下もズタボロという表現がピッタリな汚れ具合...。
その女性はトイレ待ちの列に並ぶ感じでもなく、洗面台を使うでもなく、隅っこの壁に寄りかかって虚ろな視線で宙を仰いでいました。
何この人...はっきり言って、ものすごい不気味...できるだけ早くこの空間から立ち去りたい...。
ものすごく長く感じた時間のあと、トイレの個室がやっと空いたのですが、ズタボロの女性は全く動く様子がありません。
先にいたのは女性のほうだし、私は恐る恐る「どうぞ」と声を掛けました。
ところが女性は虚ろな視線のまま、まるで私が存在していないかのように全くの無反応でした。
何度か声を掛けましたが全く反応がないので、もういいやと思い、私は先にトレイを済まさせてもらいました。
私が個室から出た時も、女性は全く同じ場所で虚ろに宙を仰いだままでした。
慌てて席に戻り、私はトイレであったことをA子に興奮気味に報告しました。
するとA子は顔色を変え突然トイレに猛ダッシュしていき、またすぐにダッシュで戻ってきて言いました。
「そんな人、トイレにいないよ! あのあとまだ誰も他にトイレから出てきてないでしょ!? ヤバいよ、今すぐ店を出よう!」
何が何だか分からないまま慌ててお会計を済ませてA子の車に乗り込み、しかしA子は車を帰る方向とは違う方向に走らせはじめました。
「ねぇ、一体なんなの?」
「いいから!」
A子はそのまま入り組んだ細い道へ車を進めました。
そして「ほら、ここだよ」とA子が車を止めたその場所の目の前には、焼け落ちた家が...!
「さっきトイレで見たという人は、この家の女性で、この火事で亡くなったんだよ」
A子が言うには、見えない何かに導かれるように、この場所に連れてこられたんだそうです。
霊感もなく心霊現象なんて全く信じない私は、今までA子が霊感強いと言っていても話半分にしか聞いていませんでした。
しかし、こんなものを見せられてしまうと...。
トイレに佇んでいたあの女性は、確かに自宅でくつろいでいたときに火事にあってしまったかのような恰好でした...。
さすがにこれは私も「初めて霊を見てしまったのかも」と思わざるをえない出来事でした。
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