20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として暮らしてきた中道あんさん。でも50代になると、夫との別居、女性としての身体の変化、母の介護...と、立て続けに「人生の転機」が訪れます。そんな激動の中で見つけた「50代からの人生を前向きに過ごすためのヒント」。
「このまま家に居続けると、ママに甘え続ける人生になる。それはちょっと嫌だから」と、社会人になってから一人暮らしを始めた、中道あんさんの娘さん。ある時、好んで作っている料理を聞くと、ほとんどが中道さんが作っていなかったもので...。
【前回】 12月初旬までに作成したい「今年中にやることリスト・やらないことリスト」
どんなに時間がない時でも「手伝って」とか「作ってほしい」など、子どもたちに頼んだことがありませんでした。
その理由は
1、頼むより自分でやった方が早い
2、自分が作った方が美味しい
3、自分の役目を他人に押し付けられない
からです。
そして、同じ作るのであれば、子どもが好きそうなメニューを考えて食卓に出すようにはしていました。
女性が好きだと言われている「芋・蛸・南瓜」ですが、私はどうも苦手で、積極的に料理に用いていませんでした。
そのことについて家族から不満が出たことはありません。
牛肉やお魚のようにどうしても食べたいというような食材でもないと思っていました。
娘が社会人になり、一人暮らしを始めました。
「このまま家に居続けると、ママに甘え続ける人生になる。それはちょっと嫌だから」
という理由からでした。
これまで、料理をはじめ家事全般を教えたことはなかったのですが、料理の動画アプリやインスタがとてもよい先生のようです。
親が教えるまでもなく最新の情報を自分でどんどんゲットしていました。
でも、ちょっとホームシックになったり、家賃を負担に感じたりするようなので、一度だけ「しんどかったら帰ってきてもいいよ」と言いました。
すると、「ありがとう。でも食べたいものを作って食べるの好きやしな。ママの料理はすごくおいしいけれど、食べたいものじゃないときもあるやん」
忙しい会社員時代であっても、娘に喜んで欲しいがために、キッシュや牛肉の煮込み等の洋食や、ダッカルビ、ビビンバなどの韓国料理など、結構な知恵を絞ってバラエティ豊かに作っていました。
家族が喜ぶ食卓を演出できていたと自負していたのに「食べたいものじゃないときもあった」というのは衝撃の言葉でした。
内心の動揺を隠しつつ「へぇ、じゃどんなメニューが好き?」と聞いてみて、さらに驚きました。
「今ハマっているのは、サツマイモほくほく肉じゃが」
肉じゃがと言えば、関西では牛肉とジャガイモが主流ではないでしょうか。
豚肉はいいとして、サツマイモがジャガイモの役割をするのだろうか。
私には味の想像ができませんでした。
しかも「めちゃくちゃ美味しい」ので定番メニューなんだとか。
娘からの「作ったよ~」のLINEには南瓜の煮物や、サツマイモの甘煮など、わが家ではほとんど食べていなかったものばかりです。
まさかここまで好きだったなんて、気づきませんでした。
「親の心子知らず」があるなら、「子の心親知らず」も大いにあるものですね。
娘のひとりの食卓は、私が知らない新レシピが満載で、おふくろの味の伝承はないようです。
私は、ひとり暮らしの経験がなくて、結婚まで実家のお世話になっていました。
そういえば、母が作ってくれる「美味しいけれど、がっかりな夕飯」を自分も何度も経験していたなぁと思いだしました。
料理する側はストライクを投げているつもりでも、結果はボールなことがある。
時にはストレートのフォアボールなことだってありうる。
そもそも、料理を作りたくって作っている主婦は世の中にどれくらいいるのでしょうか。
だったら、何を作るかよりどう食べるかを重視した方がいい。
料理作りにイライラを乗せない。
素朴で質素なごはんが美味しいと感じるようになったのは年齢のせいでしょうか。
自分が作れるものを負担なく作って和やかに食卓を囲む。
「もうそろそろ、自分の好きなもの作って食べたらええやん」
と娘に教えらえたようです。
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