<この体験記を書いた人>
ペンネーム:むらまゆ
性別:女
年齢:44
プロフィール:専業主婦です。5年前まで21年間仕事をしていました。子供は17歳の高校生、夫は26歳の公務員です。
今から11年前、子どもが保育園年長組だった頃、原因不明の体調不良が続き、検査入院しても原因が分からず困り果てていました。
同時に私自身が突然喘息を発症し、1年以上治療しても効果がでず、さらにうつ病で薬を飲んでも眠れない上に、パニック障害も併発。
最悪の状態でした。
私は職場でもたびたび喘息の発作を起こし、当時の係長(50代男性)からは「また発作起こしたの? 迷惑なんだけど」という酷い対応をされていました。
それでも期限がある仕事は、迷惑かけないようにやりました。
午前中に強い点滴を打った後ふらふらになりながら午後仕事に出かけ、子どもの調子が悪い時は近所にある夫の実家にお願いし、必死でした。
しかし係長の対応は、日に日に酷くなる一方。
上司以外の同僚は私の発作を見て「仕事より命だよ。今すぐ帰りな」と理解してくれていたのに。
重度の発作を起こし救急に運ばれた日は、係長から1日に最低5回は電話がかかってきました。
内容は「仕事の予定は大丈夫?」。
もしも出なかった場合は、着信履歴が10個以上ずらりと並びます。
そしてかけ直すと「仕事の予定は大丈夫?」中身は同じでした。
同僚は「意味のない電話はやめてください」と係長に注意してくれたそうなのですが、電話は執拗にかかってきました。
この電話が会社を休むたびにかかってくるので、私は精神的に追い詰められていきました。
頭の中で着信音が鳴り響き、一日中消えなくなってしまったのです。
とうとう、診察を受けていた病院の精神科からドクターストップがかかり、私はやむなく退職することになりました。
仕事の引き継ぎはきちんとしたのですが、上司たち(課長、係長)との話し合いの席で係長からの「また電話するから」との言葉に、とうとう私は切れてしまいました。
「お願いですから電話はやめてください、頭の中に着信音が24時間鳴り響いている状態です。本当につらいんです」
泣きながら言ったところ、 係長から信じられないひと言が飛び出しました。
「俺の優しさが分からないならさっさとくたばれ」
その後、この係長とは一度も話をすることはありませんでした。
他部署へ異動された後、定年退職したそうです。
課長は「悪気があって電話をしたんじゃないんだよ」と係長の肩を持っていましたが、私としては悪気がないならより一層タチが悪いと思います。
私の頭の中では、11年経った今でも着信音が鳴り響いています。
着信音が鳴ったとスマホを見て、実際は自分の頭の中だけだったと分かった時、当時のことをいやでも思い出します。
係長が、どうして執拗に私に電話をしていたのか今でも理解に苦しみます。
どのような対応をすればよかったかを考えることがあります。
相談していた医者からはこういわれました。
「休む以外の対応をとっていたらあなたは現在この世にいないと思うよ」
やっぱり限界だったのでしょうね。
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