別居中の夫が孤独死。10年ぶりの元我が家は、家を出た「あの日」で時が止まっていて/chii

モラハラDV夫と別居して10年。

3年くらい前から、夫が連絡してくるようになり、下着や作業着を買ってきてと頼まれれば、買って渡していました。

数年ぶりに会った夫は、まるで浦島太郎のよう。

白髪頭のガリガリのお爺さんになっていたのです。

肺が苦しいと訴えていたこともあった夫。

憐みの気持ちから、私ができることは助けようと思っていました。

しかし、昨年10月に夫は自宅内で孤独死しました。

【前回】モラハラDV夫が急死。見送る人もいない直葬を終えた今、なぜか涙が溢れ出て...

別居中の夫が孤独死。10年ぶりの元我が家は、家を出た「あの日」で時が止まっていて/chii pixta_42005813_S.jpg

誰も参列しない寂しい直葬を終え、夫は今、市役所に納骨されています。

夫が孤独死した現場へは、一人ではとても行く気になれなくて、1週間ほどたった後、息子と知り合いの30代男性に付き添ってもらい、中に入りました。

雨がしとしと降っていた11月の初旬、ひさしぶりに訪れた元我が家。

まず目に入ってきたのは夫が亡くなっていたと思われる居間です。

コタツの布団が、私が家を出た10年前のままになっていたのに、まず驚きました。

そして、コタツの上に、夫が愛用していたコーヒーカップと牛丼の空き容器があり、その生々しさに目をそむけたくなりました。

座布団が重ねられて、毛布が無造作に置かれていました。

夫は、ここで最後の晩餐をし、ここで横たわって息絶えたのだと思います。

息子でさえ怖いといっていた孤独死の現場は、寒さのせいもありガタガタと震えが止まりませんでした。

それでも、通帳や土地の登記簿などの貴重品を探しだし、持っていったカバンにつめました。

そして、私と子どもたちの逃げ場だった2階の子ども部屋にも行ってみました。

ここも10年前で、時間が止まっていました。

息子の高校受験の参考書が並んでいる机、私が使っていたベッドの寝具も、私たちが家を出た10年前のままだったのです。

台所に行ってみると、床が抜け落ちていて、新婚当時から使っていた食器棚の戸が壊れて外れていて、10年の時の流れを感じました。

お風呂はもう何年も入ってなかったようで、タイルが壊れていたのですが、そこには夫の作業着が干してあり、胸が熱くなりました。

つい最近まで、洗濯をしていたのがわかったからです。

廊下には私が飾っていた、小さい頃の子どもたちの写真立てがいくつもあり、私たち家族の幸せだった時間を思い出しました。

一緒に付き添ってくれた知人の男性が、家族の写真に囲まれて、家族と過ごした居間で亡くなって、旦那さんは幸せな最期だったのでは? と言ってくれました。

たぶん慰めだと思いますが。

夫が亡くなった部屋には、書類の山があり、ほとんどが督促状でした。

貴重品と、その書類の山と、2階にあったアルバムを持ち、その場所を離れました。

夫が最後に使っていたと思われる毛布と座布団は、どうしても触る気になれず、現在もそのままです。

不用品整理に関しては、その後、見積もりも頼みましたが、不用品整理が60万、家の解体が200万円と言われました。

手をつけるのは、不動産が売れてからになりそうです。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
記事に使用している画像はイメージです。
 

chii

モラハラDV夫の家を飛び出し、10年目のchiiと申します。離婚には応じてもらえずに、現在も熟年別居中です。つい最近、共に暮らしていた大学生の息子が自立をして一人暮らしになりました。某スーパーでサービスカウンターの仕事をしています。パートなので生活は楽ではありませんが、結婚生活が地獄だったからこそ、現在の一人の時間に幸せを感じています。別居直後から書き出した「60代小さく暮らす」お一人様の老後がテーマの「お茶のいっぷく」を書いています。

※毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

注目記事

この記事に関連する「みなさんの体験記」のキーワード

PAGE TOP
S