激しいDVとモラハラの果てに10年間別居していた夫が、10月に急死しました。
自宅内で、孤独死でした。
【前回】モラハラDV夫と別居して10年。あまりにも突然やってきた「孤独死」の知らせ
夫急死の連絡を受け警察に向かった私は、夫には面会せず、遺体引き取りを拒否し、自宅に帰りました。
遺体引き取りを拒否すると、自治体が直葬し、お骨の管理までしてくれることになっていました。
そのかわり、夫は無縁仏として他の方といっしょに墓地に埋葬されてしまうのです。
2日間考えた後、やはり夫を無縁仏にするのは可哀想だと思い、自治体に直葬とお骨の管理をお願いするのはやめようと決断しました。
でも、お骨を引き取るのは嫌。
どうしたらいいのかいろいろと考えているうちに、自治体から電話がありました。
生活支援課の担当者と話しあい、葬儀費用は自分で負担することを伝えました。
そして、お骨に関して相談すると、市役所に安置することが可能だと聞き、お願いすることにしました。
最大10年は預かってくれるそうですが、1年以内には夫のお骨をどうするか決めようと思っています。
その後、葬儀屋さんを探して事情を話した所、引き受けてくれることになったので、すぐに見積もりに出向きました。
警察署内に安置されている夫は、まずは司法解剖されます。
その後、葬儀屋さんが引き取りに行き、火葬場で荼毘にふす。
そしてお骨を市役所まで運びます。
それを全部、お願いしました。
いわゆる直葬ですが、夫の場合、誰も参列することがない寂しい直葬です。
息子が、お父さんのお葬式をちゃんとしようと言い張ったのには、理由がありました。
最後に会った4年前に、「後は頼む、お父さんが死んでも直葬だけはやめてくれよ、ちゃんとお葬式を出してくれ」と言われていたのです。
直葬にすると息子に伝えても、まだお葬式をしようというので、「解剖して傷だらけになって、腐敗したお父さんと対面することはできるのか?」と聞いてみました。
息子は黙ってしまい、やっと納得したようです。
たとえお葬式をしても、誰も参列者がいなくて、顔も見ることができないのです。
「お母さんは行かないけれど、会いに行く?」と聞いたら、やはり息子も父親とは対面したくないという答えを出しました。
亡くなっていたという知らせを受けてから5日目に、夫は荼毘にふされました。
私は、その時間、空を眺めて、さんざんな目にあわされた夫なのに、もう天にのぼったんだなと思ったら、涙があふれていました。
娘、息子に「今日、お父さんは天にのぼっていったよ」と連絡しましたが、2人ともそのことに関しての返信はありませんでした。
その日の夕方には、葬儀屋さんから電話がありました。
「滞りなく終わりました。これから請求書を作成して送ります」という内容でした。
後に送られてきた請求書は30万円。
解剖費用の10万円も含まれていますが、直葬でもこんなにかかるんだと思ったのが正直な感想です。
結果的に私も娘も息子も、夫の遺体と遺骨を目にすることがなく今に至っています。
子どもたちは、すでに日常生活にもどりました。
私は夫の後始末に忙しい日を過ごしていましたが、それが落ち着いたら、急激に寂しくなりました。
モラハラDVに苦しみ10年も別居していたのに、なぜだか幸せだった頃のことばかり思い出してしまうのです。
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