秋になっても続く不調…「新型コロナ後遺症」かも?専門医が伝える早期診断・早期治療の重要性
※2025年15週から定点数の変更があります。出典:新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2025年(2025年1月14日~2026年1月8日発表)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00474.html新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2026年(2026年1月13日~8月14日発表)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00485.html
気象庁により「酷暑日(最高気温40℃以上の日)」が制定された今年、全国のさまざまな地点で酷暑日が記録されました。厳しい暑さが続いた夏ですが、例年以上に健康への配慮が必要とされた疾患が「新型コロナウイルス感染症」でした。秋を迎えてもなお、罹患した場合の後遺症に対する注意が必要です。本記事では、最新の知見と専門医からのメッセージをもとに、その実態と対策をお届けします。
夏こそ要注意だった「新型コロナウイルス感染症」
「新型コロナウイルス感染症」は夏に患者数が増える傾向があるうえ、夏の免疫力の低下が発症のリスクを高める原因になります。また、患者の一部には後遺症が現れ、その症状によっては秋以降の生活に影響を与える可能性もあるので要注意です。
(1)感染の波が繰り返し夏と冬にピークを迎える
感染症が発生しやすい季節といえば冬のイメージがありますが、「新型コロナウイルス感染症」は冬だけでなく夏にも感染のピークを迎える傾向がみられます。
(2)酷暑の影響により免疫力が低下し、感染リスクが増大
屋外の暑さやエアコンのある場所との気温差に対応するため、自律神経が働き続けて疲弊しやすくなります。体に大きな負担がかかるうえ、暑さにより睡眠不足になりやすく、十分な休養が取れないため免疫力の低下が引き起こされます。
(3)夏休みによる生活リズムの変化
子どもの夏休みや休暇シーズンは生活リズムや環境が変化しやすく、また、酷暑の中での余暇活動は体力が奪われ免疫力の低下につながりました。家族と一緒に室内で過ごす時間が増える中、暑さのため外気を取り込む機会が減り、換気不足による感染リスクが高まる時期でもありました。
(4)夏バテや夏かぜとの勘違いによる受診の遅れ
「新型コロナウイルス感染症」の初期症状の一つである倦怠感は夏バテ、発熱は夏かぜと勘違いしやすく、自己判断で様子を見ているうちに受診や治療が遅れてしまう場合があります。
「新型コロナウイルス感染症」後遺症についての実態
「新型コロナウイルス感染症」の感染後、ほとんどの方は時間経過とともに症状が改善されます。しかし一部の方には後遺症が残る場合もあり、症状によっては社会生活が制限されることもあります。そのため、感染後は自身の体調をよく観察し、症状が続く場合は診察を受け、治療を継続することが大切です。
(1)2026年の報告数は2月と7月に最多
2026年の新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数は、前年と同様に冬と夏に増加する傾向が見られました。第6週(2月)に2.71を記録した後、第19週(5月)には0.34まで減少しましたが、夏に向かって徐々に増加して第29週(7月13日〜19日)には2.12となりました。
さらに、夏の流行状況を見ると、第29週の2.12をピークにいったん低下したものの、第32週(8月3日〜9日)には再び1.79まで増加しており、年代別では「10歳未満」の子どもがもっとも多い傾向が継続していました。
(2)後遺症を発生する人の割合は約2割(19.4%)
後遺症は、感染者のうちどれくらいの頻度で発生するかについては明確にはわかっていませんが、東京iCDCリスクコミュニケーションチームによるアンケート調査(2025年2月)では、新型コロナ陽性の判定経験がある人のうち、「感染してから2カ月以上の期間、後遺症を疑う症状があった」と答えた人は19.4%でした。
(3)罹患時の重症度に関わらず後遺症が発生する
岡山大学が発表したデータでは、オミクロン株期(2022年1月〜2026年1月末)の「コロナ・アフターケア外来」受診患者の94%が軽症以下で、中等症以上の人は6%とわずかでした。罹患時の重症度に関わらず軽症以下の人でも後遺症が発症することがわかります。
(4)女性の外来患者が多く、年代別では40代が最多
同データによると、受診した人の男女比は男性46%、女性54%と女性の割合が高くなりました。年代では40代が最多で22%を占め、30代〜50代が全体の58%でした。また、回復に時間を要した群は女性59.4%、男性40.6%で、女性の方が回復までに時間がかかる傾向があると報告されました。
後遺症の特徴と代表的な症状
後遺症は、少なくとも2カ月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかないものです。通常は発症から3カ月経った時点にもみられます。症状には「急性期から回復した後に新たに出現する症状」「急性期から持続する症状」があるほか、症状消失後に再度出現することもあります。
<代表的な症状> 疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下など
専門医からのメッセージ(国際医療福祉大学 大学院 松本哲哉 教授)
<オミクロン株の派生株が流行中>
現在流行している変異株は、オミクロン株の派生株になります。日本では昨年からNB.1.8.1(ニンバス)や、約3年間姿を消した後に再出現しセミ型とも呼ばれるBA.3.2が主に流行していますが、他の系統も混在しています。
<後遺症は30代〜40代の女性に多くみられる>
後遺症として味覚障害を訴えるケースが減少する一方、倦怠感や睡眠障害、起立性調節障害(POTS)のある患者さんが多くなっています。理由は解明されていませんが、30代〜40代の女性に多いという傾向がみられます。さまざまな研究データによると、抗ウイルス薬を投与されている群で後遺症の発生率が低いということがわかっています。「早期診断」「早期治療」で抗ウイルス薬を早期の時点から投与開始できるので、後遺症の発生率が抑えられるということになります。
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酷暑で蓄積したダメージから、体調不良が長引いている場合は新型コロナ後遺症の可能性も視野に入れ、無理せず受診することが大切です。また、冬の再流行に備え、体調の異変時は自己判断せず早めに受診する「早期診断」「早期治療」が、後遺症リスクを減らし健康な毎日を守ることにつながります。
松本 哲哉(まつもと てつや)
国際医療福祉大学医学部感染症学講座 代表教授(専門分野:感染症学、細菌学、感染制御学)。長崎大学医学部卒 医学博士。元米国ハーバード大学ブリガム&ウィメンズホスピタルリサーチフェロー、前東京医科大学微生物学分野主任教授、前東京医科大学感染制御部部長(兼任)、日本感染症学会理事長、日本臨床微生物学会理事長、日本化学療法学会前理事長、
日本環境感染学会理事、PMDA専門委員、AMEDプログラムスーパーバイザー。

