おしりの洗浄でおしりが汚れる

キレイ好きが仇に!? 洗浄用品がおしりを汚す

世界でも有数のキレイ好きの国といわれる日本では、おしり拭きやウエットティッシュ、清浄綿、専用のスプレー剤など、いろいろなおしり用ケア用品が販売されています。とくにトラブルがない人も、予防を兼ねて使っているようです。しかし、こうしたケア用品を使うようになってから、おしりの具合が悪くなったという人も多いのです。そういう人のおしりは、かぶれて肛門のまわりが真っ赤になっていたり、シミやブツブツだらけで悲惨なことになっていたりします。

おしりをキレイにするためにしていたことが、かえっておしりを汚しているのです。

消毒液や消毒薬でおしりを拭かないで!

おしり用ケア用品でかぶれて皮膚が変色するなどの異常を感じたら、すぐに使用を中止しましょう。とくに、消毒液で肛門を消毒するのは危険です。皮膚には約数百億の常在菌が存在しますが、消毒液は悪玉菌だけでなく善玉菌まで殺して傷の治りを妨げます。そのため、痔の手術後でも傷は消毒しません(痔ろうや膿皮症の術後は除く)。

また、ケア用品には防腐剤など、さまざまな化学物質が入っています。敏感な皮膚を傷めないためにも、できるだけケア用品は使わず、使用するときは必ず成分表示を確かめるようにしましょう。

座浴のススメ

おしりの汚れが気になるときは、座浴で汚れを落とそう。

おしりが浸かるくらいの大きめのたらいに、ぬるま湯を張る(浴槽に少なめの湯を張るのでも可)。湯の中におしりをつけて、パチャパチャとやさしく湯をかけて汚れを落とす。決してこすったりしないように注意する。

かゆみの原因は便

ほとんどのかゆみは「肛門そう痒症」が原因

痔とともに、おしりのトラブルで多い悩みに「かゆみ」があります。中でも、かぶれやカビが原因ではないかゆみの場合、圧倒的に多いのが「肛門そう痒(よう)症」です。これは、じん麻疹のようにカラダの内側から出てきた湿疹ではなく、自分で掻いたりこすったり、洗ったり、皮膚を刺激して自分で人工的につくりあげた湿疹です。

そして、この湿疹の原因も、出口の便秘が関係しています。便をすべて出し切れていないため、おしりを何度も拭いたり洗ったりしているうちに皮膚が荒れ、肛門そう痒症となり、洗えば洗うほど、かゆみが増して湿疹がひどくなってしまうのです。

正しいお手入れと過剰な衛生習慣を改善

肛門そう痒症の人のおしりは、出口の便秘に加え、洗いすぎや過剰なケアで皮脂膜がなくなり、皮膚のバリア機能が低下しています。そのため、治療ではできるだけ皮膚に刺激を与えないように注意します。

まずは下のような「正しいおしりのお手入れ」法による衛生習慣の改善をおこないます。塗り薬によって一時的に症状が改善しても、出残り便があると、再発の確率が高いからです。

塗り薬は、湿疹がひどい場合はステロイドを用いますが、軽症の場合は「正しいおしりのお手入れ」の実行とワセリンや軟膏をぬるだけでも軽快します。

正しいおしりのお手入れ

正しいおしりのお手入れ法で、おしりのトラブルを予防、改善しよう。

<洗い方>
×温水洗浄便座を使わない
肛門を刺激しないためにも温水洗浄便座は使わずに、紙で軽く拭くだけにする。
×入浴時の石けん洗浄は禁止
入浴時に石けんやボディーソープをつけておしりを洗わない。
×おしりにシャワーを直撃させない
肛門にシャワーを直接当てたり、手でこすったりしない。

<拭き方>
×3回より多くは拭かない
排便後の拭き取りは3回まで。それでも紙が汚れるようなら「座浴」がおすすめ。
×おしり拭きやウエットティッシュなどを使わない
市販されているおしりのケア用品は、かぶれの原因となるので使わない。
×消毒しない
アルコールなどの強い刺激はかゆみだけでなく、ヒリヒリとした痛みの原因にも。


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佐々木みのり
1912年創立、110年以上の歴史を持つ大阪肛門科診療所の副院長。肛門科女医の草分け的存在。1994年大阪医科大学を卒業後、大阪大学皮膚科学教室に入局。その後、4年間、大阪大学附属病院、大手前病院、東京女子医大病院などで皮膚科医として勤務した後、1998年に肛門科医に転身。同年7月には日本初となる「女医による肛門科女性外来」を開設。「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。また、元皮膚科医という経歴を持つ異色の肛門科医として、同業の医師を対象に多数の講演を行っている。『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(2020年あさ出版)は3万部超えのベストセラーに。「2時ドキッ!」「おはよう朝日です」「痛快!明石家電視台」「世界一受けたい授業」などのテレビほか、多数のメディア出演あり。