【本作を第1回から読む】頻尿、残尿感、尿失禁...ついに自分も膀胱が衰えた!? 加齢による「おしっこの悩み」が尽きないワケ

『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える 腎臓・膀胱 最高の強化法』 (堀江重郎/SBクリエイティブ)第2回【全7回】

頻尿、残尿感、尿失禁など尿にまつわる悩みを抱えていても、年のせいだからと軽視していませんか? じつは「寿命が縮まるサイン」の表れかもしれません。泌尿器科の名医・堀江重郎先生による『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える 腎臓・膀胱 最高の強化法』は、尿と病気の因果関係をわかりやすく解説しています。尿トラブルは、対処可能なものが多いのも事実! 今すぐ取り入れられる予防法を実践して、クオリティ・オブ・ライフを上げていきましょう!!

※本記事は堀江重郎著の書籍『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える 腎臓・膀胱 最高の強化法』(SBクリエイティブ)から一部抜粋・編集しました。


太っている人は、トイレが近い

「太っている人ほどトイレが近い」泌尿器科医が警鐘! 「肥満」が「頻尿」につながる4つの理由(2)

なぜ、「食べすぎ」が頻尿を助長するのか

頻尿は、体型とも分かち難い関係があります。結論からいうと「太っている人ほどトイレが近い」といえます。

それにはいくつか要因がありますが、膀胱が硬くなる「活性酸素による酸化ストレス」と「男性ホルモンの低下」が、太っている人に共通の問題です。

活性酸素が増える大きな理由は、「食べすぎ」です。肥満を招いているのは、当然ながら食べすぎであり、食べすぎるほど、からだはたくさん代謝活動を行わなくてはいけません。

つまり、太っている人は、たくさん食べるために、からだの処理能力を超えるくらいの活性酸素が発生している可能性が高いのです。だから通常より酸化ストレスによる膀胱のサビが進みやすく、膀胱の柔軟性を生む一酸化窒素が低下し、頻尿になりやすいのです。 

では「男性ホルモンの低下」はどうでしょう。

テストステロンの量は、筋肉量に比例します。太っている人は脂肪が多いぶん、筋肉が少ない、つまり肥満でない人より男性ホルモンは少なめです。そのために膀胱の柔軟性が落ち、膀胱の容量が低下し、やはり頻尿になりやすいといえるのです。

まだある、「肥満が頻尿を招く」理由

これら2つに加えて、あと2つ、太っている人は頻尿になりやすい理由があります。1つは、「インスリン」です。

インスリンは、糖質の代謝にかかわるホルモンです。ところが肥満が病的な段階になると、「インスリン抵抗性」と呼ばれる状態に陥り、インスリンを効率的に利用することができなくなります。

でも、糖質を代謝しないまま血液中に放置できませんから、からだは糖質を何とかしようと、どんどんインスリンを分泌します。

じつは、インスリンには交感神経を活発にする作用もあります。そのため、インスリン分泌量が増えると、膀胱が容量いっぱいになる前に尿意が生じやすくなるのです。

もう1つは、「サイトカイン」です。

サイトカインは脂肪細胞に含まれる炎症性物質であり、体内で増えすぎると酸化ストレスが強まります。もうおわかりでしょうが、そのサイトカインの酸化ストレスによって一酸化窒素が減り、膀胱の柔軟性が失われます。このことからも、肥満の人は頻尿になりやすいというわけです。

また、肥満が高血圧、さらには睡眠時無呼吸症候群を招き、夜間頻尿につながっているケースも多いと見ていいでしょう。

高齢者になると、むしろやせているほうが頻尿?

ただし高齢者の場合は、反対にやせている人ほど頻尿という傾向も見られます。といっても「やせているから頻尿」なのではありません。

やせる原因になっている、心臓病や糖尿病は、頻尿や夜間頻尿を引き起こします。これらの病気には、栄養不足を引き起こし、やせていくという特徴もあります(糖尿病は主に肥満によって起こりますが、進行すると糖分を利用できなくなるため、結果的に栄養不足になります)。このため全身の筋肉がやせてしまうサルコペニアという状態に陥りやすくなります。

高齢になるにつれて、心臓病や糖尿病の罹患率は高まります。高齢者は「やせている人ほど頻尿」という傾向が見られるのは、要するに「高齢者は、からだがやせ、なおかつ頻尿が生じやすい病気にかかる確率が高い」からといえるのです。

堀江重郎
泌尿器科医、医学博士。1960年生まれ。日米の医師免許を取得し、米国で腎臓学の研鑽を積む。2003年帝京大学医学部主任教授、2012年より順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学主任教授。順天堂医院泌尿器科長。腎臓病・ロボット手術の世界的リーダーであり、科学的なアプローチによるアンチエイジングに詳しい。日本抗加齢協会理事長、日本メンズヘルス医学会理事長。