コロナ禍以降、「家族葬」に象徴されるように、葬儀の「個人化」や「小型化」がさらに加速しています。また、インターネット葬儀社の参入により低価格化が進む中で、故人の人生の軌跡や記憶にほとんど触れることなく、場合によってはスケジュールに合わせて形式的に進行するだけで終わってしまうことも少なくありません。
そんな中、新しい様式の追悼が注目されています。それが、葬儀社に頼ることなく、遺族自らの手によりWebサイト上で故人を弔い偲ぶ、追悼用コンテンツ作成ツール『Web告別記|記憶葬』というもの。故人に最も身近な遺族が作り語ることで、その生涯の軌跡をWeb上で蘇らせる試みです。これにより、故人のご冥福を心ゆくまで祈ることができるだけでなく、たとえ遠く離れた場所にいても、パソコンやスマホを通じて、いつでも何度でも故人と心から向き合うことが可能になります。
記憶葬トップページ
あらかじめ用意されたシンプルかつ上品なデザイン・テンプレートを活用し、最大11ページの構成に沿って故人に関する写真や文章を追加するだけで、世界に一つだけの追悼ウェブサイトが完成。故人の関係者に広く公開することができます。
さらに、従来の葬儀で必要とされていた香典の受付、返礼品の送付、追悼の辞の受付・公開といった機能やサービスもWeb上で提供。契約期間は1年1ヶ月で、期間中は何度でも内容の更新が可能です。少しずつ内容を充実させ、関係者に繰り返し案内することができ、最終的には、一周忌の案内や感謝のメッセージを掲載し、Webサイトを閉じることができます。
《Web告別記|記憶葬》最大11ページの構成
・トップページ
・喪主ご挨拶
・遺影写真
・故人の横顔
・故人史
・写真館
・ムービー館
・追悼メッセージ掲載
・追悼メッセージ受付・香典オンライン決済受付
・感謝と御礼+フッター
《Web告別記|記憶葬》主な機能とサービス
・作成ページを選べる柔軟な構成
・投稿フォームから簡単に送付できる追悼メッセージ
・簡便&安心の香典オンライン決済
・香典返礼品カタログ送付
《Web告別記|記憶葬》利用料:9万9000円(税込)
*利用期間は御契約日から13ヶ月となります。
*契約更新も可能です。(更新期間:12ヶ月・更新料:9900円(税込))
デザインテンプレート(ひな形)が用意されており、ページ構成やレイアウトに悩む必要なし
誕生から始まる時々のエポックとなる写真や資料を年代順に並べて故人史に
『Web告別記|記憶葬』を提供する佐竹一郎事務所の代表の佐竹さんにお話しを伺いました。
――今回の企画の狙いを教えてください。
近年、お墓の承継と並んで変化しているのが、葬儀業界です。特にコロナ禍を経て、従来のお通夜+本葬から身内だけで執り行う「家族葬」が半数を占めるようになっています。この葬儀の小規模化・多様化の傾向は、多死化や少子高齢化の進展と共に、今後ますます顕著になると予測され、これまでにはなかった新しい葬儀様式が提案されています。本サービスもそんな新しい試みの一つです。特に隣り組などの葬儀を支えていた地域の共同体が崩壊して以降、次第に葬儀業者に任せきりとなり、故人を偲び弔う葬儀の内実が貧疎になりがちに。そんな現状から本来の葬儀を遺族の手に取り戻すことを念頭に置いて、Webサイト上で多くの顧客にリーズナブルな料金で利用いただくために企画しました。
――ターゲットはどういった方々ですか?
遺族自らの手でオリジナルな告別のためのコンテンツを作成・公開するリテラシーが要求されるため、PCでテキストや画像の取り扱いに長けた中高年が顧客層となります。
――この画期的なアイデアはどのようにして生まれましたか?
きっかけは個人的な経験から。15年前、父の葬儀直後に、当時はまだ元気だった母が「夫がどんな人でどんな人生を送ったのか、葬式ではほとんど語られなかったから、もっともっと皆さんに知ってもらいたい」と、父や夫婦の思い出を写真と文章でまとめた冊子を作った経験があります。その後、コロナ禍の中で母が亡くなった時には、社会的にもごくごく内輪だけの家族葬となり、故人の関係者にはハガキでの案内となり大変寂しい想いをしました。父と同じように母にも心のこもった、いつまでも記憶に刻まれるものを残してやりたかったという後悔がありました。そして、きっとそんな思いを持っている方も多いのではないかと考え、Web上で利用できるサービスを作った次第です。
「故人のことをじっくり偲んでもらいたい」という代表自らの経験から生まれた本サービス。いつでもどこからでも、誰もが心ゆくまで故人を弔える新しい葬送のカタチとして、今後広く受け入れられていくのではないでしょうか。