葬儀などの儀礼は、仏さまの前で多くの人々と教えを聞く場
――私たちがお坊さんを呼ぶのは、葬儀や法事ですね。葬儀において、お坊さんはお経を読むことのほかに、どんな役割があるのでしょうか?
近藤丸 葬儀の際、お坊さんのことを導師といいます。導師には葬儀や法要の儀式を導き、しっかり執り行うとの意味があります。そして導師は今からどのような儀式を行うのか同席している人たちに伝え、お経を読みます。つまり浄土真宗の場合、葬儀などの儀礼は、仏さまの前で多くの人々と共に、教えを聞く空間なのです。参列者をリードし、仏様と教えを聞く空間を作り、読経や法話を通して仏教を伝えていく使命が僧侶にはある訳ですね。
――お経の節回しに違いがありますが、そこにも何か意味があるのでしょうか。
近藤丸 お経は内容だけでなく、その響きや美しさを通して伝わるという面もあります。丁寧に、大切に唱えられたお経から、何かを聞き取る人がいる。お経には独特の節回しがあるものも多いので、日々読経の練習をし、さまざまな訓練をしている僧侶でなければ難しいものもありますね。そのお経に感動した人が、また日々お経を読むこともあると思います。
今回のインタビューに答えるために岡崎秀麿先生・冨島信海先生の著書『ねぇ、お坊さん教えてよ どうしてお葬式をするの?』(本願寺出版刊)、渡辺照宏先生の『お経の話』(岩波書店刊)を参考にさせて頂きました。より詳しいことが知りたい方は是非これらの本を手に取ってみてください。
お経は、ブッダが伝える教えに向き合い、大切なことに気付くために読まれるもの。だから読む人が誰かは重要ではない。
仏教が生まれてから2500年、人々の喜び、悲しみ、苦悩に寄り添ってきた教えには、現代に生きる人々が抱える悩みを解決に導くヒントがある。漫画『ヤンキーと住職』を読んで、これからの人生の糧になる、大切な言葉や教えを見つけよう。