高血圧は将来の心不全や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高めます。適切な血圧管理のためには、食事と生活習慣の見直しが基本です。今回は循環器学が専門の久代登志男先生と管理栄養士の成澤文子さんに食の習慣についてお伺いしました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年3月号に掲載の情報です。
食事&生活習慣で降圧
生涯、良好な血圧管理を
高血圧が将来の病気のリスクを高めることはよく知られています。
高い血圧が続けば、心臓に負担がかかり心不全の原因に。
また、高血圧で動脈硬化が悪化すれば、心臓や脳の動脈が詰まって心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことも。
「大切なことは適切な血圧管理。その基本が食事と生活習慣。その上で必要に応じて薬を飲むことで、心臓や脳の重篤な病気を防いで健康に過ごせます」と、久代登志男先生。
とはいえ、高血圧改善のための食事の管理は大変そうと思う人もいることでしょう。
「ちょっとした調理の工夫で、減塩は意外とラクにできます。物足りなさを感じさせない減塩のコツを覚えて、普段の料理に活用してください」と、管理栄養士の成澤文子さん。
今回紹介するプチ習慣は、続けることで効果を期待できます。まずは2週間、取り組んでみましょう。
<食の習慣>サラダを最初に食べる
「蒸し大豆と季節野菜のサラダ」の作り方
器にお好みの量の蒸し大豆とレタスなどの野菜を盛り付ける。ドレッシング(ヨーグルト大さじ2、オリーブ油大さじ1/2、塩、粗びき黒こしょう、にんにくすりおろし各少々を混ぜる)を添える。
(1)目安は手のひらいっぱい
普通程度の食事量の人は、食事の最初に手のひらいっぱいぐらいのサラダを食べましょう。生野菜を中心に、蒸し大豆や蒸し鶏などのたんぱく質食材をトッピングするといい。
(2)ナトリウムとカリウムのバランスが重要
血圧を上げる大きな原因は、塩の摂り過ぎによって体内にナトリウムが増え過ぎるせい。そこで、ナトリウムを排出するカリウムを摂ることが大切。食べた塩分を出すには、ナトリウム1に対してその2倍のカリウム摂取を。生野菜にはカリウムが豊富なので、食事の最初にサラダを食べるよう習慣づけましょう。
(3)ドレッシングは別添えに
ドレッシングやタレのかけ過ぎは、塩分過多の原因になります。別に添えて、食べるときに調節するのがおすすめ。
ナトリウム(塩分)を多く摂ると
動脈壁の細胞の中のナトリウム(Na)が増えて血流抵抗が増し、血圧が上昇。
カリウムを摂ると
カリウムの作用で血中のナトリウムが尿に排出され、血圧の低下を期待できます。
カリウムの多い食材
※可食部100g当たりの含有量
※本企画の栄養素の数値は「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」から算出。