エレベーターの待ち時間は1分以内が限界!? 身のまわりのモノの技術(3)【連載】

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11月10日はエレベーターの日である。1890年のこの日に、東京の浅草で日本初の電動式エレベーターを備えた凌雲閣がオープンしたことを記念したものだ。

紀元前のローマではエレベーターが使用されていたという記録が残っている。もちろん電動式ではないが、エレベーターの歴史は意外に古い。

現代の電動式エレベーターの多くはつるべ式と呼ばれる方式を採用している。人が乗る「かご」と、バランスを取るための「つり合いおもり」がワイヤーロープによって「つるべ式」につながっている方式だ。この方式の特徴は、かごと「つり合いおもり」をつり合わせているため、モーターにかかる負荷が半減され、モーターの容量を小さくできることだ。

エレベーターの駆動方式には、その他に、「巻胴式」「油圧式」などがあり、高さやスペースなどによって使い分けられている。かごが昇降するイメージは、ケーブルカーを垂直に走らせるのに似ている。取りつけられたローラー(すなわち車輪)にガイドされながら、かごは直立したレールに沿ってロープに引っ張られて移動するのである。

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最近のエレベーターは静かで揺れがない。時速50キロを超えるスピードで昇降しながら、床に立てた10円玉が倒れないという。これはコンピューター制御のおかげだ。かごにつけられた加速度センサーが揺れを感知すると、ローラーとレールとの力関係をコンピューターが調整。常にかごの振動を抑えるように保たれているのだ。

コンピューター制御は、待ち時間の縮小にも一役買っている。何台もエレベーターが並んでいるのに、長い時間待たされたという経験をお持ちの人も多いだろうが、新しいビルではそんなことはない。イライラせずに待てるのは1分以内というが、コンピューター制御でそれが実現されている。

また、エレベーターはビルの構造にも影響を与えている。スカイロビー構造がその例である。

涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。現在は高校の数学教諭を務める傍ら、コンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
涌井 貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程を修了後、 富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校の教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
(涌井良幸 涌井貞美/KADOKAWA)
家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」です。

 
この記事は書籍「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」(KADOKAWA)からの抜粋です。

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