よい先生との出会いで気づいたことー母親が語る幼少期/岩野響『15歳のコーヒー屋さん』(9)

9.jpg10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断された岩野響さん。中学校に通えなくなったのをきっかけに、あえて進学しない道を選んだ15歳の「生きる道探し」とは?
著書『15歳のコーヒー屋さん』を通じて、今話題のコーヒー焙煎士・岩野響さんの言葉に耳を傾けてみましょう。

◇◇◇

前の記事「小学校3年で発達障害と診断ー母親が語る幼少期/岩野響『15歳のコーヒー屋さん』(8)」はこちら。

 

よい先生との出会いで気づいたこと

響もお伝えしていますが、小学校5~6年生のときの担任だった鹿貫先生には、とても感謝しています。

鹿貫先生はお会いするたびに、
「お母さん!響くんはこんなすごいところがあるんですよ」
「響くん、こんなことができるんですよ」
と報告してくれました。

勉強ができるとか、テストの点数がいいとか、リレーの選手になった、だからほめるのではなく、いいところを見つけてくれます。掃除のときには、雑巾掛けがきれいにできたとか、取るに足りない細かいところを見つけては、ほめてくれました。「響くんは掃除の時間が終わっているのに、いつまでも床を拭いていて困る」ととらえられるところを、鹿貫先生は、「響くんは、本当にていねいで、みんなが掃除を終えてもずっと床を拭いてくれているんですよ」と、ポジティブにとらえてくれるのです。

きっと悪いところもあったと思いますが、それについては一言も触れないまま。私は保育園の頃から、響について悪いことしか言われてこなかったので、いいところを報告してくれたのは鹿貫先生がはじめてでした。

私自身が、響は「できない子なのかもしれない」と思いはじめていたときに、そうではないと勇気づけてくれたのです。

はじめてお会いしたときに、開口一番「お母さんのせいじゃありませんからね」と言ってくださったのも、本当にうれしかったですね。先生の言葉から、響との接し方について学ぶこともたくさんありました。

鹿貫先生との出会いをとおして、環境さえ変わればいい方向に変わっていけるのではないか、と思えるようになりました。

響自身に変わってもらうことは、発達障害があるがゆえに難しいかもしれない。けれど、先生が「響、すごいじゃん」と思えるような雰囲気にしてくれたおかげで、クラスの友達が響のことをバカにしなくなったように、まわりの人たちに理解してもらうこと、理解してもらう方法を私たちが身につけることで、もう少し生きやすい環境に変えられるのではないかと痛感しました。

 


撮影/木村直軌

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岩野 響(いわの・ひびき)

2002年生まれ。群馬県桐生市在住。10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断される。中学生で学校に行けなくなったのをきっかけに、あえて高校に進学しない道を選び、料理やコーヒー焙煎、写真など、さまざまな「できること」を追求していく。2017年4月、自宅敷地内に「HORIZON LABO」をオープン。幼い頃から調味料を替えたのがわかるほどの鋭い味覚、嗅覚を生かし、自ら焙煎したコーヒー豆の販売を行ったところ、そのコーヒーの味わいや生き方が全国で話題となる(現在、直販は休止)。

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『15歳のコーヒー屋さん』

(岩野 響/KADOKAWA)

現在、15歳のコーヒー焙煎士として、メディアで注目されている岩野響さん。10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断され、中学校に通えなくなったのをきっかけに、あえて進学せずコーヒー焙煎士の道を選びました。ご両親のインタビューとともに、精神科医・星野仁彦先生の解説も掲載。

関連データ

『15歳のコーヒー屋さん』

 

・「HORIZON LABO」公式ホームページはこちら「HORIZON LABO」コーヒー豆の通販はこちらで行っています。

この記事は書籍『15歳のコーヒー屋さん』からの抜粋です
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