「人は制服通りの人間になる」は本当か? 外見を変えれば考え方も自然と変わる/外見戦略

「人は制服通りの人間になる」は本当か? 外見を変えれば考え方も自然と変わる/外見戦略 pixta_39100711_S.jpg仕事がうまくいかない、よい人間関係が築けない...それは自分の能力のせいだと思っていませんか?仕事も人間関係も、うまく回り出すための第一歩は「外見を変えること」にあり! ズバリ第三者からの見え方が、あなたの人生を変えるのです。人からの「見え方」を変え「理想の自分」になる方法を、本書『外見戦略』で学びましょう!

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変えるのは「服装」ではなく「考え方」

「外見を変えること」=「服装を変えること」と、多くの方は思うかもしれません。確かに「服装を変えること」は大きな要素の一つですが、その前にもっと重要なことがあります。
「外見を変えること」とは「考え方を変えること」です。

熟練の職人さんが心を込めて作られた陶器は良質の布に包まれ、桐箱に入っています。一方、100円ショップの陶器は紙に包まれてレジ袋に入れられるだけです。このように外装は、中身に対する想いや貴重さが反映されています。すなわち「外見を考えること」は、「自分自身について考え、今後の人生の方向性を考えること」でもあります。

例えば、「どのような仕事をし、人からどのように評価され、どのような人に囲まれていたいか」など、「本当になりたい自分」に合わせて、外見を変えていくことで、それに伴って考え方も変わり、「本当になりたい自分」になっていくのです。なぜならば、外見と考え方には密接な関係があるからです。考え方を変えれば外見が変わり、外見が変われば考え方も変わります。

しかし、多くの方にとって考え方を変えるのは難しいものです。それは第一章で述べた通りです。そこで、まずは外見から変えていくのです。外見が変わることで自分自身への考え方・感情が変わります。

自分の思い通りの人生を生きていくためには、セルフイメージを強化することが効果的です。「自分とはこういう人間だ」という強い思いによって意思決定の質が上がり、行動の質が上がり、人生や仕事の成果が上がります。

「外見が思考や行動にどれだけ影響を及ぼすのか」について、これまでに様々な検証がなされてきました。例えば、FBIがこれに関して調査・実験したことがあります。捜査官を2つのグループに分け、Aグループにはビジネススーツ、BグループにはSWATの訓練服を着せました。その上で、同じ人質救出作戦(男性が女性を人質にして小屋に立て篭っていて、電話は通じるが小屋には容易に近づけないという状況)の計画を立てました。

それぞれのグループがどのような作戦を考えたか、想像してみてください。ビジネススーツのAグループは時間をかけて交渉し、人質を救出するという作戦を考えました。一方、SWATの訓練服を着たBグループは、玄関ドアを壊し閃光弾を投げ入れて襲撃するというダイナミックな作戦を考えました。このように着ている衣服によって思考のパターンや行動の種類が大きく変わることが分かりました。

フランスのナポレオン 1 世は「人は制服通りの人間になる」と考え、皇帝即位後も近衛猟騎兵大佐の制服を好んで着ていました。常に兵たちの陣頭に立つということを無言の内に表し、外見に即した意思決定を行い、積極的な改革をし続けました。それによって周囲へ多大な影響を与えていたのです。

私のクライアントの方に多数のベストセラーになっているビジネス書の著者であり、セミナー講師として活躍されている男性Aさんがいらっしゃいます。数年前、出会った頃のAさんは、著書を出す以前で「望む顧客がセミナーに来ないこと」を悩んでいました。

Aさんは世界的な講演家のセミナーに感銘を受け、渡米して直接教えを受け、日本でビジネスセミナーをスタートさせた方です。志高い経営者、努力家のビジネスマンを対象にセミナーを企画し、「一度に1000人以上の前で話をする人物になる」というビジョンを持っていました。しかし、当時集まったのは簡単に手っ取り早く稼ぎたいという方であったり、志が高いとは言えない方が少なくありませんでした。

大きな問題は、Aさんが提供するコンテンツと顧客とのミスマッチでした。Aさんは当時から上質のコンテンツを提供していましたが、それがAさんの外見から伝わっておらず、望む顧客がセミナーに来ていませんでした。そこでAさんが求める顧客を獲得するには、外見を変える必要がありました。

第一章でお話しした通り、人は外見で他人を判断し評価しているからです。Aさんのセミナーに、 求める顧客層ではない方が集まったのは、Aさんの外見の情報がそのような方たちを集めていたからです。当時のAさんは若さと勢いのよさと調子のよさを感じさせる印象で、外見は、親しみやすい「学習塾の先生」のような印象でした。

外見を変える時に重要なのは、「外見を内面にマッチさせること」です。Aさんの内面は「世の中を変えるリーダー」でしたので、それに相応しい外見が必要でした。そして、提供しているコンテンツが上質であり、本物志向の方々が集まるコミュニティであることを伝える外見であることが必要でした。

私はAさんを短髪で精悍なイメージに変え、眼鏡と服装とをそれに合わせて変えました。ウェブサイトやソーシャルメディアのプロフィール写真も変えました。すると顧客層、集客数に変化が起きました。外見を変える前のAさんのセミナーは100人規模の会場でも空席が目立っていましたが、外見を変えたことで、すぐ満席になるようになりました。そして、望んでいた志の高い経営者が全国からたくさん集まるようになりました。

Aさんの考え方や話の内容はもともとハイレベルでした。しかし外見からは、4日間で数十万円のハイレベルなセミナーを提供している方には見えなかったのです。見た目が悪いということではなく、Aさんの外見と、提供する商品・サービス・価格とが合っていなかったのです。しかし外見をAさんの理想の姿や内面に合わせることで、100人程度の定員であれば即完売、企業や外部団体のセミナーにも呼ばれるようになりました。結果としてAさんは自信を深め、ついに2000人規模のセミナーを満席で行うまでになりました。

 

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川園 樹(かわぞの・いつき)

国際イメージコンサルタント。明治大学法学部卒業後、富士通株式会社で営業戦略を担当。退職後、Image Resource Center of New York 認定スクールで国際基準のイメージコンサルティングの手法と実践を学ぶ。アメリカにてAICI (国際イメージコンサルタント協会)の国際イメージコンサルタント資格を取得。帰国後、海外の要人や政治家、上場企業経営者、文化人やスポーツ選手、起業家など3,000 人以上のイメージコンサルティングを担当。成果を出すコンサルティングに定評があり、個別コンサルティングはキャンセル待ちが続いている。

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未来を変える「外見戦略」
川園 樹 / KADOKAWA)
海外の要人から芸能人、起業家など3000人以上の外見を変え、運命を変えた「国際イメージコンサルタント」の著者が語る最新の「夢攻略メソッド」!「理想はあるけれどなかなかそこに近づけない!」という悩みを「外見」から解消していくための1冊です。

 
この記事は書籍『未来を変える「外見戦略」』からの抜粋です

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