モノを捨てると生き方まで変わるという「断捨離」。そのメソッドと実践法を、クラター・コンサルタントのやましたひでこさんに教えていただきました。
前の記事「モノの「有効性」ではなく、「必要性」に気付くことが大事/やましたひでこさんの断捨離(2)」はこちら。
心を整えて、モノを捨てる
断捨離にルールやマニュアルはありません。捨てる判断は自分にしかできないからです。ただ、ガイドラインはあり、その一つが分類です。モノを収納スペースにしまう前にまず、大分類→中分類→小分類というように、収納したいアイテムを3つのジャンルに分けます。例えば「キッチン」など大きな分類から入って「コンロ周り」、さらに「鍋、フライパン」というように小さく分類し、小分類ごとに収納すればすっきりします。
新たなモノを一つ手に入れたら、1つ手放して、モノの流れを滞らせないということです。ただし、断捨離では1つ手放してから1つ入れます。先に出すことを意識すれば、循環を呼び起こすことができます。
◆◆断捨離 実践編◆◆
その1 思考を断捨離する
□現状を認識する
押し入れや戸棚などの扉は、外せるものは外して全て全開にし、収納されているモノの総量をきちんと認識します。モノの総量を把握しないまま取りかかっても徒労感が募るばかりです。収納空間に散らかっているだけか、収まらずにはみ出ているのか、などを確かめます。
□自己否定をやめる
片付けはできて当たり前なのに、私は能力が劣る? そんな思い込みこそまず断捨離。こうした自罰的な思考傾向に気が付いて自己否定をやめることも思考の断捨離です。自己否定よりモノとの関わり方を具体的に考えていくことが大切です。
□住まいのビジョンを描く
断捨離は片付けを目的としていません。片付けは手段。優先すべきは片付いたあとの住まいでどんな暮らしをしたいか、というビジョンを明確にすること。自分が心地良くいられる住空間を手にしたい、というその思いが断捨離を実践する上での原動力になっていきます。
その2 モノを断捨離する
□モノを出して、俯瞰する
収納の現状を把握したら、次は床やテーブルにモノを全て出し、全体量を俯瞰します。手放しにくい思い出のモノ、押し入れ1間分などの大物から始めるのではなく、収納ボックスやたんすなら1段分というように小さい単位から始めます。
□「ゴミ・ガラクタ」から処分する
まず、壊れているモノ、使えないモノなど、明らかなゴミ・ガラクタから捨てること。あったことすら忘れられているモノも、いまの自分にとってどうでもいい、用のないモノです。こうした忘却グッズを最初に始末をつけます。
□自分軸と時間軸を意識して取捨選択
自分軸と時間軸のふるいにかけるのは、断捨離の最大の肝です。中心は自分。時間軸はいまです。この2つの軸を意識してモノの取捨選択ができれば、「いま」という時間軸の「自分」にとって、必要なモノだけに絞り込むことができます。
「要・適・快」を基準に選び抜く
最後のふるいは「いま」の「自分」にとって不要・不適・不快なモノを手放すことです。それらは自分の感覚や感性に素直になっていくことで、自然に見えてきます。意識しながらモノを手放すうちに、だんだんセンスも磨かれてきます。
モノを絞り込んだら初めて「収納」に取りかかります。断捨離の「片付け」とは、収納の前に行うモノの絞り込み作業です。
<不要・不敵・不快なモノとは?>
不要=なくても困らないモノ。
たまに使うだけの季節商品、普段使わない来客グッズなど
不敵=自分にふさわしくないモノ。
何年も前に買った洋服、趣味ではない頂きもののタオルなど
不快=心地良くないモノ
履き心地の悪い靴、使い勝手の悪いキッチングッズなど
取材・文/細川潤子
クラター・コンサルタント。一般財団法人「断捨離○R」代表。ヨガの考えをもとに「断捨離」を提唱。書籍出版の他、さまざまなメディアを通して活動を展開。著書に『心を洗う 断捨離と空海』(高野山大学客員教授・永田良一氏と共著/かざひの文庫)、『人生を変える断捨離』(ダイヤモンド社)など。