「味覚が同じ」は結婚する理由になりうるか?/大人の男と女のつきあい方

pixta_25119732_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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前の記事「男と女には「知らなくてもいいこと」がある/大人の男と女のつきあい方(4)」はこちら。

 

味覚が同じ男女は必ずうまくいく

「一緒に食事をしていて、味覚が同じ」
ある知人の女性が結婚相手を決めた理由に、そんなことをいっていた。
食べものの好みの問題ではない。自分は天ぷら好きだが、相手はそれほど好まない。ただ、それでも味覚が同じということはある。

たしかに、私も経験したことがあるが、相手によっては食事の場で何となくぎこちない空気が流れることがある。どちらかといえば親しい間柄なのに、である。とてつもない早食いだとか、食べ方に品がないとか、極端に小食家であったり大食漢というわけでもない。お酒が入ると豹変(ひょうへん)するわけでもない。しかし、なぜか、しつくりこない。大したことではないのかもしれないが、ふと思い当たった。そういう相手と自分とでは、「味覚」が異なっているのではないか......。

「このお店の鰻(うなぎ)、たれの味が絶妙ですね」
「この小鰭(こはだ)、メ(しめ)具合がちょうどいいですね」
「隠し味のゆずが利いているね」

味に対する感じ方が似ていると、おおむねテープルの上に並んだ料理を平らげるスピードやリズムも似てくるものだ。会話のリズムも合わせやすい。相性としかいいようがないのだが、男女のつきあいのなかではかなり大切な要素だと思う。

経験上感じるのだが、相手が同性であれ異性であれ、幾度となく食事をともにしても、この相性が合わないとなかなかフレンドリーな関係にはならない。
そんなこともあれば、たった一回の食事で距離が縮まるようなこともある。とくに相手が異性の場合、その傾向が強い。

暴論であると批判されそうだが、味覚の合う男女は、まずうまくいくというのが私の持論だ。素材の好き嫌いではなく、あくまで味覚。同じ料理なら、薄味が好きか、濃い味が好きか、あるいはさっぱりした味がいいか、こってり味がいいかという好みだ。一方は鰻が嫌いで、もう一方は好きだからうまくいかないというのではない。

「女性と二人っきりで食事をするのは、もうセックスの始まりみたいなものだからね。食事の好みが合わない女性は、セックスもそれなりだね」
名前は控えるが、ステキなお父さんを演じさせたら右に出る者はいないが、私生活での素顔は超のつくプレーボーイである役者さんの言葉である。

そう考えると、たしかにものを食べるという行為は、動物である人間の根源的な欲望の表れである。彼のいうように「セックスの始まり」という説に、全面的に同意することはできないが、たしかに女性が食事をするしぐさや表情、口の動きなどは性的なものを連想させることもある。

とりわけ、魅力的な女性がエレガントに食事をしているとき、口の動きなどに妙に色っぽさを感じることもある。

余談だが、ある夕刊紙で面白い記事を見つけた。
「だって口のなかもアソコも、同じ粘膜。料理の複雑さが理解できる粘膜を持っている女の子は、オチンXンの味も理解できる粘膜を持っている」

ラブボディーウォッチャーという肩書を持つ、きづき桃さんという筆者が料理教室経営者の意見として紹介している。同じ粘膜だから......とはさすがの私も気づかなかったが、繊細な味覚を持っていて、それが自分の味覚と合う異性とは相性がいいという意見には、大いにうなずける。
 
「いいなと思っていた男性からディナーに誘われて、何かあるかなと愉しみにしていたら、音を立てて食べるわ、口にものを入れたままおしゃべりするわで、もう最悪。母が急病で、と嘘うそをついて帰ってきました」

以前、贔展(ひいき)にしている鰻屋の娘さんからそんな話を聞いたことがある。大笑いしながら「それは素晴らしい」と手を叩(たた)いて褒めてあげた。これはもう相性以前の問題で、こんな男は論外だが、一生をともにするかもしれない異性かどうか、つきあって愉しい相手かどうか、その判断の尺度として味覚の相性というものはバカにできないのではないだろうか。

そういえば最近の若い男女はライト系の味覚を好むそうだ。苦味や酸味も大切な味覚だが、彼らは、それらを避けたがる。一方、ヘビー系の味覚を好むのは40代の中年女性とか。なるほど彼女たちが元気なはずである。

「一緒に食事をしていて、味覚が同じ」
考え方、趣味などの共通点もたしかに大切な判断基準だが、冒頭に紹介したような理由で、恋愛や結婚の相手を選ぶのは、これが案外、大正解なのかもしれない。

 

次の記事「「いわぬが花、聞かぬが花」過去の恋愛についてはこれが鉄則/大人の男と女のつきあい方(6)」はこちら。

川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!
この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です
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