ひどい痛みで指が曲がらない、関節が太くなった、指の形がおかしい...。それらの症状、もしかしたら「へバーデン結節」かもしれません。患者数350万人以上とも言われる「へバーデン結節」ですが、原因自体はまだ解明されておらず、手指の痛みをそのままにしてしまっている人も少なくないそう。そこで今回は、麻酔科医・富永喜代先生による著書『全国から患者が集まる麻酔科医の へバーデン結節・手指の痛みの治し方』を紹介。具体的な症状や対処方法、自分でできる痛みをやわらげる治療メソッドなど解説していきます。
※本記事は富永喜代著の書籍『全国から患者が集まる麻酔科医の へバーデン結節・手指の痛みの治し方』から一部抜粋・編集しました。
【最初から読む】ひどい手指の痛み...もしかして「ヘバーデン結節」かも? 痛みを和らげる方法をチェック
痛みを上手にコントロールするための生活の知恵
少しでも痛みをやわらげるために、日々のケアや生活の中での工夫を
10秒神経マッサージの効果をさらに上げるために、日常生活の中で行いたいケア法をご紹介していきます。
手指を冷やさないようになるべく温めるようにしたり、物を活用したりして手指への負担を軽減するための工夫をしていくことは、痛みをやわらげるのに大いに役立ちます。
また痛みというのは心の動きに左右されることが意外に大きいものです。
周囲の人たちの心ない言動によって痛みが悪化したり、反対に、パートナーの何気ないねぎらいの言葉が心を軽くし、痛みをやわらげる場合もあります。
さらに精神的なストレスはあらゆる病気を悪化させるもの。
よって日常の中で心をケアしたり、ストレスを溜めないように気をつけていくことも大切です。
物理的、精神的の両方向からアプローチするケアを心がけ、生活の質を上げて心豊かな日々を過ごしていきましょう。
手指の痛みの改善に大きな効果が! 就寝中の手袋がおすすめ
へバーデン結節の最大の敵は「手指を冷やすこと」。
なぜなら手指の冷えは血流を悪くすることに直結するからです。
手指が痛いと血管が縮こまって、指先にカルシウムや酸素などが届かなくなり、骨の変形が進みます。
そして骨の変形に伴ってますます痛みが増えて、可動域が小さくなり、動かさないことでさらに血流が悪化する、という悪循環に陥ってしまうのです。
これを断ち切るためには、指先の血流を改善することにつきます。
起きて活動している間は、手指を冷やさないようにと意識して過ごすことは可能ですが、眠っている間は無防備になりがち。
夜、寝ている間につける「ナイト手袋」は、朝の手指のこわばり改善にも役立つのでおすすめです。
100円ショップで売っている日焼け防止用のアームカバー(二の腕まで覆う長さのあるもの)などを使って簡単に作れます。
動脈は、手首を通って手のひら全体にループのように流れています。
そして手のひらから指の側面を通って指先へと血管は広がっていきます。
手袋の形が、手のひらと指を温めるのにちょうど適しているのです。
特に温めるべき部分は「手首」と「指の股」の2ヶ所。
これを踏まえて手袋を作る際のポイントを挙げていきましょう。
手首には親指側を通る「橈骨動脈」(脈をとるところ)と、小指側を通る「尺骨動脈」があり、ふたつは手のひらで合流します。
どちらも皮膚の浅いところを通っているので、手袋を手首をすっぽり包み込む長めの丈にすることで、ここから熱が放出されるのを防ぎます。
手首を締めつけず、緩みを持たせるのがポイントです。
指の股も大事な部分。
ここを温めることによってマッサージ効果が得られ、血流が守られて朝の指のこわばりが改善できます。
いわば5本指ソックスと同じ原理。
指の股がカバーされていれば、ミトン型でも指が分かれているタイプでもOKです。
ナイト手袋を作るにあたって気をつけたいのが、指先は必ずオープンにするということ。
指先の知覚神経はとても発達しているため、指先に物が触れると脳が活性化されて眠りを妨げてしまうのです。
下にポイントをまとめて図解にしました。
参考にしてぜひ作ってみてください。
手作りも簡単にできます! ナイト手袋のポイント解説
POINT1:指先は開いている
指先は切り落として。知覚神経が発達している指先に物が当たると、眠れなくなってしまいます。
POINT2:指の股はカバーされている
指先の血流を守るために重要な温めポイント。ミトン型でもこの部分がカバーされていればOKです。
POINT3:手のひらがすっぽり覆われている
2本の動脈がループ状に流れている手のひらを覆い、温めることで指先まで血液が行き渡ります。
POINT4:長めの丈で手首までしっかり保温
手首は指へ向かう血管や神経が集中する場所。きつく締めると血行が悪くなってしまうので緩みを持たせて。